本エントリーは
stod phyogs 2014年7月8日火曜日 音盤テルトン(1) カンザスおやじ対オルガンの怪人、おフランスの決戦!
からの移籍です。日付は初出と同じです。
===========================================
今回から音楽の話も挟んでいきます。こちらもマイナー・ネタ中心ですが、そんなこと言ってると大好きなモンクの話とかできなくなるから、まあテキトーに好みの音盤を紹介していきます。
しかし、ますます何のblogかわからなくなってきましたな。
ちなみに「テルトン」とは「གཏེར་སྟོན་ gter ston」、埋蔵経典発掘者のこと。世にあまり知られていない音盤を紹介したい、という意気込みも少しあります。ま、そんな大層なもんじゃありませんが。
音盤を何千枚も持っているマニアではないので、気楽に書いていきます。マニアの方々にとってはぬるい話ばかりですが。
------------------------------------------
第1回めは、
Jay McShann featuring Milt Buckner/KANSAS CITY MEMORIES [Black & Blue]
01-04 : 1973/07/23, Bordeaux, France
Jay McShann (p,vo), Milt Buckner (p), Rolland Lobligeois (b), Paul Gunther (ds)
01. Vine Street Boogie
02. Cherry Red
03. Miltjaybird
04. Yardbird Waltz
----
05-08 : 1973/07/31, Paris, France
Arnett Cobb (ts), JM (p,vo), MB (org-05,06), Clarence "Gatemouth" Brown (g-05,06), Al Casey (g-07,08), RL (b), PG (ds)
05. My Chile
06. Hot Biscuits
07. Tain't Nobody Business
08. Doo Wah Doo
----
09-11 : 1970/11/16, Barcelona, Spain
JM (p,vo), MB (p), Unknown (b), PG (ds)
09. Funky KC
10. Please Mr. McShann
11. Honeysuckle Rose
------------------------------------------
Kansas City Jazzの重鎮Jay McShann(注1)とオルガンの怪人(今回はオルガンは2曲だけ)Milt Bucknerのダブルピアノでにぎにぎしくお送りします。右チャンネルがMcShann、左チャンネルがBucknerです。
いつもギャーギャーうるさいBucknerとMcShannをぶつけてどうなるかと思ったが、さすがにBucknerがちょっと引いて、McShannのサポートに回る。ぶつかり合うことはない。大人の音楽ですな。雰囲気は終始和やか。
これは、Albert AmmonsとMeade Lux LewisのダブルピアノBoogie Woogieの楽しさを1970年代に復活させたものと言えますね。1曲めから飛ばす飛ばす。
------------------------------------------
McShannの歌がまたよい。声量もないしそんなにうまい歌ではないが、湯上がりオヤジの鼻唄みたいで気持ちよさそう。太り肉でチョビヒゲ、あのスケベそうなニヤニヤ顔を思い浮かべながら聞くと、またいい感じ。
中盤にはArnett CobbとGatemouthが加わって、味付けがさらに濃くなる。それにしても、Cobb、Gatemouth、Bucknerっていう組み合わせのBlack & Blue盤、オレはいったい何枚持ってるんだろう?
------------------------------------------
1973年というと、メジャー・シーンでは、やれフュージョンだ、エレクトリック・マイルスだと目まぐるしい時代でしたが、そんな流れとは関係なく地道に自分の音楽を続けていたオヤジたちもいたわけです。生活はみんな大変だったらしいけど。
その受け皿になったのが、ヨーロッパの聴衆とレーベル。Black & Blueはその中でもスウィング~ブルース系のやや古臭いミュージシャンを拾ってくれたフランスのレーベル。
音楽的な傾向は1950年代Verve~Pabloと似ているが、それよりやや泥臭い連中が好みのよう。
アルバム作りやジャケット(注2)のいいかげんさもVerve~Pabloと似てるかな。大量にダラ録りして、小出しにして行くやり方は、むしろPrestigeと似てるかもしれない。
アナログ時代はジャケットも中身も正体不明の代物で、なかなか手を出す気になれなかった。CDになってから、音源もジャケットも整理されて、だいぶ素人も手に取りやすくなった感がある。
とにかくBkack & Blueというレーベルは、まとまった記事もないし、実態がつかみにくい。だれかDiscographyにまとめてちょ。
===========================================
(注1)
Jay McShannくらいになると、スウィングだとかジャンプだとか中間派だとかブルースだとか、ジャンル分けは無意味。McShannの中に全部入ってる、とも言えるし、McShannから全部出て来たもの、とも言える。
Jay McShann(1916-2006)はOklahoma出身。1930年代にKansas Cityに移って、自分のバンドを結成して名を上げる。ジャズ正史(スイングジャーナル史観とも言う)では、Charlie Parkerをめっけてきたオヤジ、としてしか知られていない(笑)。ちゃんと聴いてる人少ないよね、オレもだけど。
NYやLAなどの中央に出ることもなく、一貫してKansas Cityで活動を続ける。が、レコーディングは途切れることなく、単なるローカル・ミュージシャンとは一線を画す存在。まさに重鎮。21世紀になってからしばらくはご長寿ジャズ・ミュージシャン(早口言葉だな)の一人だったが、2006年90歳で死去。大往生。お疲れ様でした。
(注2)
アナログ白黒ジャケット時代には、やはり白黒ジャケットのPabloと区別しにくかった。Norman Granzの手書き文字がないだけ。
0 件のコメント:
コメントを投稿