2016年12月30日金曜日

stod phyogsの分家blogです

ブログstod phyogsの分家です。

本家から音楽の話題(Jazzが多い)はこちらに移します。しばらくは本家の投稿も残しておくので、2016/09/03以前の投稿は当分重複します。

リンクやレイアウトにまだ不備がありますが、それらはおいおい修正していきます。

2016年9月3日土曜日

音盤テルトン(17) Voodoo、Sonny Clark、Hard Bopper John Zorn、Louise Brooks-その4

本エントリーは
stod phyogs 2016年9月3日土曜日 音盤テルトン(17) Voodoo、Sonny Clark、Hard Bopper John Zorn、Louise Brooks-その4
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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MORE NEWS FOR LULUにJohn Pattonの曲が1曲入っています。Minor Swing。

初出は

John Patton/THAT CERTAIN FEELING [Blue Note] rec.1968

残念ながら持ってないし、聴いたこともない。

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Pattonは1970年までBlue Noteに録音があるが、その後1970年代にはほとんど消息がつかめない。1983年には、フランスのNilvaから久々のリーダー作を発表。

John Zornとは

John Zorn/THE BIG GUNDOWN [Elektra/Nonesuch] rec.1984-85
John Zorn/SPILLANE [Elektra/Nonesuch] rec.1986-87

で共演を果たす。その後、John ZornとJohn Pattonはしばしばギグを共にし、信頼関係を築いていったらしい。

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この辺からPatton自体の活動も活発化。折からのオルガン再評価ブームも手伝って、ついに1993年、10年ぶりのリーダー作を発表。それが

Big John Patton/BLUE PLANET MAN [キング/Paddle Wheel→Evidence] pub.1993


















Art Direction : Rothacker Advertising & Design

1993/04/12-13, NYC
John Zorn (as), Pete Chavez (ts), Bill Saxton (ts, ss), BJP (org), Ed Cherry (g), Eddie Gladden (ds), Lawrence Killian (cga), Rorie Nichols (vo-06)

01. Conga Chant
02. Funky Mama
03. Cloudette
04. Chip
05. Popeye
06. What's Your Name ?
07. U-Jaama
08. Bama

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これが日本制作であるのは誇っていい。キング/Paddle Wheelエライ!

それも日本制作盤にありがちな、スタンダード集とか懐古趣味の再会モノではなく、John Pattonの現在(当時)を記録したクリエイティブなものになっている。

Pattonは快調そのものだし、サイコー。Archie SheppのU-Jaamaなんかやってるのも、珍しくも面白い。

John Zornはゲスト扱い。他にsaxが二本もいるので出番は少ない。普通のソロやアンサンブルはそのお二人さんにまかせ、ここではいつものZornらしくフリーな圧縮ソロを繰り広げる。なんか梅津和時っぽい。06でソウル系のヴォーカルにオブリガードをつけるJohn Zornは珍しい。

それにしても凶悪なヴィジュアルになってしまったPattonにびっくり。

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tsの一人Bill Saxtonも、実力の割には恵まれない人だ。

Bill Saxton/BENEATH THE SURFACE [Nilva] rec.1984

なんかは名盤といっていい出来なのに、全然知られていないしCD化すらされていない。

Bill Saxtonの話は、いつかまた別に取り上げよう。

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そして、Pattonのオルガン・トリオ(org + g + ds)にJohn Zornのワンホーン、という夢のような作品が発表される。

John Patton/MINOR SWING [DIW] pub.1995


















Cover Design : Arai Yasunori (Picture Disk)

1994/12/21, NYC
JZ (as), JP (org), Ed Cherry (g), Kenny Wollesen (ds)

01. The Way I Feel
02. Tyrone
03. Minor Swing
04. The Rock
05. Along Came John
06. Lite Hit
07. B Men Thel

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これまた日本制作であるのはさらに誇っていい。超名盤です。

John Zornは、ここではJohn Pattonに敬意を表してか、あまり暴れない。ハードバップ・アルト・サックス奏者としてのJohn Zornをたっぷり聴くことができる作品。

Jimmy Smith with Stanley Turrentine/PRAYER MEETIN' [Blue Note] rec.1963

を思わせる渋い出来です。Ed Cherryのギターもすごくいい効果。

Pattonがフット・ペダルで作り出すベース・ラインのスイング感は素晴らしい。特にMinor Swing。「フット・ペダルをマスターしてるのは、Milt Bucknerとオレだけだぜ」とか言ってる話をどっかで読んだが、まさにその通り。

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ところでジャケットのPattonはBLUE PLANET MANジャケの凶悪な姿と違って、えらくカッコイイ。

それもそのはず。実はこの写真は1994年のPattonではなく、1960年代Blue Noteのセッション時のPattonなのだ。撮影はFrancis Wolff。カッコイイのも当然ですね。

John Patton/BOOGALOO [Blue Note] rec.1968

のジャケ写と同じ服装なので、その頃の写真かもしれない。ただしBOOGALOOは後の発掘モノなので、そのアルバム録音時の写真とは限らないが・・・。

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John Zornは、この頃からfree improvisation、4ビート、Ornette Coleman、ユダヤ音楽Klezmerをいい塩梅に組み合わせたMASADAシリーズを開始する。

John Zorn/MASADA : ALEF (1) [DIW/Avant] pub.1994

の録音は1994/02/20。それまでの4ビート実験がうまく生かされている。アルト奏者John Zornの実力を知りたいなら、こちらもぜひ。

MASADAシリーズは10枚続き、Tzadikからはライブ盤も続々と出ている。驚くべき仕事だ。自分はあんまりカバーできてないけど。

1990年代Jazzを代表する作品群なのだが、Jazzジャーナリズムでの評価は「ごく一部での大絶賛」にとどまる。なんてこった・・・。

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とまあ長々とJohn Zornの話をしてきたわけですが、これはZornを4ビート/ハード・バップの側面で切ったもの。Zornの世界はまだまだ奥が深い。

いつかまた続編を書いてみよう。

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(追記)@2016/09/04

それにしてもJohn Patton/MINOR SWINGの文字通りマイナーぶりにはまいるなー。

かく言う自分も知ったのはずいぶん後だったし、知っている人はほとんどいないんじゃないか?Web上でも、数えるほどしか情報を見かけない(販売情報だけ)。

最近Jazz方面では、たまに復刻モノをリリースしているだけのDIWだが、是非再発してほしい。Tzadikじゃ出してくれそうにないし、Fresh Soundあたりからでどうだ?

なんて、勝手なこと言ってますが、中古で見かけた人は、逃すと次に見かけるのはいつかわからんので、絶対買い!

2016年9月1日木曜日

音盤テルトン(16) Voodoo、Sonny Clark、Hard Bopper John Zorn、Louise Brooks-その3

本エントリーは
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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NEWS FOR LULU、MORE NEWS FOR LULUのジャケットを飾るショート・ボブの妖艶な女性。これは、知ってる人はよくご存知。

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映画

George Willhelm Pabst監督 (1929) DIE BÜCHSE DER PANDORA(パンドラの箱).

の主役Luluを演じたLouise Brooks (1906-85)です。これはドイツ映画ですが、意外にもBrooksは米国人なのです。

映画『パンドラの箱』は、2006年に紀伊國屋書店からDVD化もされているようですが、最近はなかなか見かけない。見つけたら買おっと。

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Sonny ClarkのNews for Luluという曲があり、これを取り上げたアルバムを作ったJohn Zornがそれをアルバム・タイトルにし、そしてこの「Lulu」にひっかけて、映画『パンドラの箱』の主役Lulu(Louise Brooks)をジャケットに持ってきた、というわけ。なんかこっちの方が連想ゲームだな。

John Zornはすごい映画マニアでもあるのですね。『パンドラの箱』はLouiseの代表作と言われています(観たことないけど)。

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しかし、Sonny Clarkの曲News for Luluは、『パンドラの箱』のLuluと関係があるのだろうか?曲が発表された1957年は、映画の約30年後、当時リバイバルで上映されていたとか?

「lulu」はドイツ語・フランス語・英語の俗語で「素晴らしい物・人」という意味がある(注1)ので、このLuluは固有名詞ではなくて、一般名詞なのかもしれない。「かわい子ちゃんの噂」程度の意味で。

あるいはLuluはLouiseの愛称と解すると、「Louiseちゃん(Lulu)の噂」になる。

今のところ『パンドラの箱』のLuluとは関係ないんじゃないか?と思っているが、本当のところはよくわかりません(注2)

(注1

「lulu」の大元をたどると、アラビア語の「lulu=真珠」にたどり着く。これがヨーロッパに入って「美しいもの」「かわいいもの」「大事なもの」になったらしい。そしてLouis(e)の愛称「Lulu」とも合体したのだろう。

(注2)@2016/09/02

Sonny Clarkの曲News for Luluの「Lulu」がわかりました。Clarkが飼っていた犬の名前だそうです。German Shepardの雑種というから、Louise Brooks=Luluとは関係なさそうですね。

参考:
・BLUE NOTE : THE FINEST IN JAZZ SINCE 1939 : HIGH FIDELITY > SPOTLIGHT > OLDER POSTS >>> Bradley Farberman/HEADING BACK TO SONNY'S CRIB (January 8 2013)
http://www.bluenote.com/spotlight/heading-back-to-sonnys-crib

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同様にThelonious Monkが演奏していた曲で、Lulu's Back in Townという曲があります。これはMonkの曲ではなく、1935年、Al Dublin作詞、Harry Warren作曲。ミュージカル映画、Lloyd Bacon監督 (1935) 『Broadway Gondolier』の挿入歌。

当時、Fats Wallerも歌って大ヒットしたんだそうな。Monkはその影響を受けたわけですね。

このLuluも一般名詞で「かわい子ちゃんが町に帰って来た」あるいは「Louiseちゃん(愛称)が町に帰って来た」程度の意味と思われます。

参考:
・Wikipedia (English) > Lulu's Back In Town (This page was last modified on 2 May 2016, at 12:14)
https://en.wikipedia.org/wiki/Lulu%27s_Back_In_Town
・Wikipedia (English) > Broadway Gondolier (This page was last modified on 7 February 2016, at 21:02)
https://en.wikipedia.org/wiki/Broadway_Gondolier

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映画『パンドラの箱』の原作は、ドイツの戯曲

・Frank Wedekind (1895) ERDGEIST(地霊).
・Frank Wedekind (1904) DIE BÜCHSE DER PANDORA(パンドラの箱).

いわゆる「Lulu二部作」。映画『パンドラの箱』はこの二作を合わせて映画化したもの。

参考:
・ウィキペディア > ルル二部作(最終更新 2016年6月28日 (火) 15:40)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%AB%E4%BA%8C%E9%83%A8%E4%BD%9C
・Wikipedia (English) > Frank Wedekind (This page was last modified on 11 August 2016, at 14:20)
https://en.wikipedia.org/wiki/Frank_Wedekind

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魅力的だが、次々と男を破滅させる魔性の女Luluが主人公。Luluは最後はLondonに渡り、Jack the Ripper(切り裂きジャック)に殺される。

Louise Brooksは愛称がLuluになることもあり、Lulu役にピッタリですね(映画は見たことないけど)。美しくもかわいく、そして神秘的。

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戯曲、演劇、映画のLuluについては、山口昌男が論考をたくさん書いています。

・山口昌男 (1977.9) ヴェデキント「ルル」についての神話批評の前提となるようないくつかの覚え書き. 新劇, vol.24, no.9, pp.49-59.
・大岡昇平, 山口昌男 (1985.1) 「ルル」と昭和モダニズム. 中央公論, vol.100, no.1, pp.270-280.
→ 再録 : 山口昌男 (1986.5) 『スクリーンの中の文化英雄たち』. 556pp. 潮出版社, 東京.
・山口昌男・談, 川村伸秀・聞き手 (2015.9) 『回想の人類学』. 350pp. 晶文社, 東京.(「悪女ルル」という章がある)

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そして、映画『パンドラの箱』のLulu=Louise Brooksを大々的に取り上げた素晴らしい本が、

・大岡昇平 (1984.10) 『ルイズ・ブルックスと「ルル」』. 116pp. 中央公論社, 東京.


















大岡昇平のエッセイに加え、というよりはそれをはるかに上回る分量を映画『パンドラの箱』からのスティールショット、それもLouise Brooksの姿が占めています。Louise Brooks写真集と言ってもいいでしょう。

この本には、Louise Brooksの回想録からの抜粋も含まれており、まさにLouise Brooksの魅力を伝える決定版とも云えます。

私は図書館から借りたのですが、ぜひ持っておきたい本の一つ。しかしなかなか古本屋でも売ってないのですね。気長に探そう。少しサイズを小さくして、ぜひ再発してほしいなあ。

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注目すべきは、その出版年1984年。この本のおかげで、日本では当時ちょっとしたLouise Brooksブームが起こったようだ。私も雑誌や広告なんかで見た記憶がある。

そしてようやくJohn Zornに戻るのだが、その頃Zornはしょっちゅう日本に来ていた。映画マニアのZornのこと、当然Louise Brooksや映画『パンドラの箱』のことは知っていただろうが、この本を手にして狂喜したに違いない。いや、絶対そうですよ。

NEWS FOR LULUの発表はその5年後、1989年なのです。大岡本を見て、John ZornはLouise BrooksのLuluをジャケ写に使おうと決めたに違いない。

って断言してしまいますが、まあ当たっていると思いますよ。

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ところで、Louise Brooksのショート・ボブは、1930年代昭和初期の日本でも「ブルックス・カット」として大流行。いわゆる「モガ(modern girl)」の髪型としてよく知られています。

その後も日本ではこのショート・ボブ人気は連綿と続き、最近ではむしろ日本女性の代表的な髪型と認識されているかもしれない。モデルの山口小夜子の影響もすごかったし。

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私は、日本の20世紀後半のポップ・カルチャーは、20世紀前半(特に戦前)のUSA文化にルーツがあると見ています。

特にWalt DesneyやBetty Boopなどのアニメですね。その頃のUSAアニメには「カワイイ」が充溢しており、これが日本の「カワイイ」の源泉でしょう。

USAでは、この「カワイイ文化」は徐々に衰退していき、主に日本で生きながらえてきた、と云うよりむしろ日本で大発展したのですな。

Walt Desney Productionは1992年に『Aladdin(アラジン)』でアニメ制作を再開しましたが、そこには往時の「カワイイ」はもはや見当たりませんでした。ヒロインJasmineのかわいくないこと(美人だけど)。

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Louise Brooksのショート・ボブも、日本で人気が続いた「20世紀前半USA文化」の一つ。

Brooksと同時期、USA映画界では大スターであったLillian Gish(1893-1993)。Gishについては、Brooksも同時代のスターとして回想録で触れていますね。この人は、今のUSA映画界ではあまり見られない「カワイイ系」の女優さんです。

参考:
・Wikipedia (English) > Lillian Gish (This page was last modified on 11 July 2016, at 22:07)
https://en.wikipedia.org/wiki/Lillian_Gish

Brooksとは対照的に、この人は「ゆるふわ系」の元祖です。Gishは今見てもカワイイし、それに1980年代でもまだ映画に出演し、「カワイイおばあちゃん」ぶりを見せてくれていました。

Gishの「カワイイ」が日本文化に与えた影響も大きいと思うんだが、どうだろう?

1970年代の「りぼん」の「乙女ちっく文化」や、その流れをくむ「カントリー雑貨・家具」「ピンクハウス」などは、Gishにその源泉を求めることができるかもしれない、なんて思ってるのだが・・・。

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BrooksやGishの話をしていると、いつまでたっても終わらないので、とりあえずここで切りましょう。

もう1回、John Zornと今度はJohn Pattonの話。

(ツヅク)

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(追記)@2016/09/02

おまけでNEWS FOR LULUのinner sleevesからLouise Brooksのご尊顔を。



2016年8月30日火曜日

音盤テルトン(15) Voodoo、Sonny Clark、Hard Bopper John Zorn、Louise Brooks-その2

本エントリーは
stod phyogs 2016年8月30日火曜日 音盤テルトン(15) Voodoo、Sonny Clark、Hard Bopper John Zorn、Louise Brooks-その2
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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お次にハード・バップ・マニアJohn Zornが手がけたのは、

John Zorn + George Lewis + Bill Frisell/NEWS FOR LULU [hat Hut(クラウン)] pub.1989


















Design : Walter Bosshardt

1987/08/28, Lucerne (Swiss)
GL (tb), JZ (as), BF (g)

01. KD's Motion (from Kenny Dorham/AFRO-CUBAN [BN] rec.1955)
02. Funk in Deep Freeze (from HANK MOBLEY QUINTET [BN] rec.1957)
03. Melanie (from Freddie Redd Quintet/SHADES OF REDD [BN] rec.1960)
04. Melody for C (from Sonny Clark/LEAPIN' AND LOPIN' [BN] rec.1961)
05. Lotus Blossom (from Kenny Dorham/AFRO-CUBAN [BN] rec.1955)
06. Eastern Incident (from SONNY CLARK QUINTETS [BN] rec.1957-58)
07. Peckin' Time (from Hank Mobley/PECKIN' TIME [BN] rec.1959)
08. Blues Blues Blues (from Freddie Redd Quintet/SHADES OF REDD [BN] rec.1960)
09. Blue Minor take 1 (from Sonny Clark/COOL STRUTTIN' [BN] rec.1958)
10. This I Dig of You (from Hank Mobley/SOUL STATION [BN] rec.1960)
11. Venita's Dance (from Kenny Dorham/AFRO-CUBAN [BN] rec.1955)
12. News for Lulu (from Sonny Clark/SONNY'S CRIB [BN] rec.1957)
13. Olé (from Freddie Redd Quintet/SHADES OF REDD [BN] rec.1960)
14. Sonny's Crib (from Sonny Clark/SONNY'S CRIB [BN] rec.1957)
15. Hank's Other Tune (Hank Mobley, from Donald Byrd/BYRD'S EYE VIEW [Transition] rec.1955)
16. Blue Minor take 2 (from Sonny Clark/COOL STRUTTIN' [BN] rec.1958)
17. Windmill (from Kenny Dorham/WHISTLE STOP [BN] rec.1961)

1987/08/30, Jazzfestival Willsau (Swiss)
GL (tb), JZ (as), BF (g)

18. News for Lulu (from Sonny Clark/SONNY'S CRIB [BN] rec.1957)
19. Funk in Deep Freeze (from HANK MOBLEY QUINTET [BN] rec.1957)
20. Windmill (from Kenny Dorham/WHISTLE STOP [BN] rec.1961)

18~20はCD化の際の追加曲。ライブ録音。

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今度はClarkに加えて、Kenny Dorham、Hank Mobkey、Freddie ReddといったBlue Note渋目のミュージシャン曲集。これを、tb-sax (as)-gというJimmy Giuffre Trioのフォーマットで演奏するというからわけがわからない。

このフォーマットのGiuffre 3(Bob Brookmeyer (tb) + Jimmy Giuffre (ts) + Jim Hall (g))とは、1958年のNewport Jazz Festivalを記録した映画『JAZZ ON A SUMMER'S DAY(真夏の夜のジャズ)』(1960, Bert Stern+Aram Avakian・監督)の冒頭で、The Train and the Riverを演奏していたアレですね。

Jimmy Giuffreはいろんな変わったフォーマットで演奏する人なんだが、このフォーマットはGiuffre 3とJohn Zornしか知らない。

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実は、Zornはこの前にも

Derek Bailey + George Lewis + John Zorn/YANKEES [Celluloid/OAO(ジムコ)] pub.1983


















Artworks : Thi-Linh-Le

before 1983, NYC
GL (tb), JZ (as, ss, cl, game calls), DB (g)

というアルバムを作っている。フォーマットはNEWS FOR LULUと同じなのだが、Baileyがいることでわかるように、こちらは全編free improvisationsというキッつい作品。

メロディらしいものはいっさいなし。Zornはgame calls(狩猟時に獲物をおびき寄せるための鳥獣の鳴き声を真似た音を出す道具)ばっかり吹いてるし。

ジャケットもふざけまくり。

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さて、NEWS FOR LULUの方はというと、恐れることはない。至極まっとうなハードバップ。

プロジェクト初期の演奏なので、テーマをなぞるような展開が多い。Naked Cityほどではないが、曲も3~5分と短いので、どっかへ飛んで行くまでいかないのだ。この作品の目的が、作曲者と曲へのオマージュであることがわかる。

Free Jazzを恐れる人でも聴きやすい。なんといっても曲がいいしね。曲テーマを大事に扱っている。

それにしても選曲が渋いなあ。私はBlue Noteマニアではないので、聴いたことない曲も多い。でもいい曲ばかりだ。

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リズムがg一本で、tbが時々リズムをサポートする程度。Bill Frisell大変だったろうな。それでもしっかりスイングするリズムを作り出しているのはさすが。

この演奏でJohn Zornのアルトへの認識がいっそう高まったのだが、ジャズ・ファンにどれだけアピールしたかはよく分からない。

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hat Hutの作品の中では、売れ行きがかなりよかったのだろう。日本盤まで出ているし。そして4年後に続編=ライブ盤がリリースされる。

John Zorn + George Lewis + Bill Frisell/MORE NEWS FOR LULU : LIVE IN PARIS AND BASEL 1989 [hat HUT/hat Art] pub.1993


















Design : Anthony Lee & Tomoyo T.L. (Karath=Razar)

1989/01/19, Paris
GL (tb), JZ (as), BF (g)

01. Blue Minor I (from Sonny Clark/COOL STRUTTIN' [BN] rec.1958)
02. Hank's Other Tune (Hank Mobley, from Donald Byrd/BYRD'S EYE VIEW [Transition] rec.1955)
03. News for Lulu (from Sonny Clark/SONNY'S CRIB [BN] rec.1957)
04. Gare Guillemins (Misha Mengelberg)
05. Minor Swing (from John Patton/THAT CERTAIN FEELING [BN] rec.1968)(注)
06. KD's Motion (from Kenny Dorham/AFRO-CUBAN [BN] rec.1955) / Windmill (from Kenny Dorham/WHISTLE STOP [BN] rec.1961)
07. Funk in Deep Freeze (from HANK MOBLEY QUINTET [BN] rec.1957)

1989/01/18, Basel (Swiss)
GL (tb), JZ (as), BF (g)

08. Eastern Incident (from SONNY CLARK QUINTETS [BN] rec.1957-58)
09. Lotus Blossom (from Kenny Dorham/AFRO-CUBAN [BN] rec.1955)
10. Melanie (from Freddie Redd Quintet/SHADES OF REDD [BN] rec.1960)
11. Olé (from Freddie Redd Quintet/SHADES OF REDD [BN] rec.1960)
12. Blue Minor I (from Sonny Clark/COOL STRUTTIN' [BN] rec.1958)
13. Peckin' Time (from Hank Mobley/PECKIN' TIME [BN] rec.1959)
14. Blues, Blues, Blues (from Freddie Redd Quintet/SHADES OF REDD [BN] rec.1960)
15. Melody for C (from Sonny Clark/LEAPIN' AND LOPIN' [BN] rec.1961)

(注)@2016/08/31

John Pattonの曲Minor Swingの初出が判明したので追記しておきました。

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こちらはライブなので、演奏時間が少し伸びている。それでも5~6分台程度だが。スタジオ盤に比べると、曲を素材化し始めており、より自由度が増してきている。

スタジオ盤よりは癖がある。ジャズ・ファンにはスタジオ盤のほうがいいかも。

前作ではバックに徹していたBill Frisellの出番は少し増えて、フロントの二人にからむ場面も多い。1990年代のBill Frisellは、リーダー作ではドローンを効かせて、自分のギターで空間を埋めつくすような作風になるのだが、ここでもその傾向が出てきている。

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Clark、Dorham、Mobley、Reddに加え、John Pattonの曲が1曲、Misha Mengelbergの曲が1曲入って来た。

PattonはBlue Noteのアーティストだから違和感はないが、Mengelbergはオランダ・フリー・ジャズ界の親分。Zornに近いフィールドの人。Blue Noteの曲とは異質だが、いい曲だ。3人共演奏を楽しんでいるのがわかる。

John ZornとJohn Pattonの関係は「その4」で。

(ツヅク)

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(追記)@2016/08/31

NEWS・・・もMORE・・・も再発されていますが、ジャケットはやはり無味乾燥な白黒風景写真になってしまったので、上記ジャケットの盤を持っている人は、売っぱらったりしないで大事に保存した方がいいでしょう。

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それから、YANKEESは、日本盤CDはアナログ盤起こしです。日本盤以外でCD化されてるかは知らない。これも再発される見込みはない(もしかしたら、TZADIKが買い取って再発する可能性はあるかもしれないが)ので、持っている人はこれも大事にした方がいい。

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(追記2)@2016/08/31

YANKEESはCelluloid/OAOとイギリスのCharlyからCD化されてることがわかった。Master tapeから落としてるのかは知りません。

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(追記3)@2017/10/08

YANKEESのCelluloid/OAO盤を入手したのだが・・・これもアナログ盤起こしだった!最後の方で、アナログ盤傷ノイズが入るのは日本盤と同じだ。


オリジナルテープは行方不明なのか?

2016年8月28日日曜日

音盤テルトン(14) Voodoo、Sonny Clark、Hard Bopper John Zorn、Louise Brooks-その1

本エントリーは
stod phyogs 2016年8月28日日曜日 音盤テルトン(14) Voodoo、Sonny Clark、Hard Bopper John Zorn、Louise Brooks-その1
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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えー、チベット関係の話題がないとご不満の方もおいででしょうが、毎年恒例で、夏は暑いので(言わずもがな)、調べ物をする気にならんのです。シェードゥル関係のまとめに入ってはいるんですが、世界各地の「悪霊祓い」をまとめるのも大変。

それにしても「言わずもがな」って文章の構造がよくわからんな。

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2016年6月19日日曜日 ZOMBIE, VOODOO, SANTERIA, MILTON CARDONA

からの連想ゲーム。Voodooから。

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Voodooという曲があります。作曲はSonny Clark。1950年代~60年代初頭に活躍したピアニストです。

収録アルバムは、Clarkのラスト・リーダー作

Sonny Clark/LEAPIN' AND LOPIN' [Blue Note] rec.1961


















1961/11/13, Englewood Cliff, NJ

Tommy Turrentine (tp), Charlie Rouse (ts), SC (p), Bitch Warren (b), Billy Higgins (ds)
01. Somethin' Special

Ike Quebec (ts), SC (p), BW (b), BH (ds)
02. Deep in the Night

TT (tp), CR (ts), SC (p), BW (b), BH (ds)
03. Melody for C
04. Eric Walks
05. Voodoo
06. Midnight Mambo

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Sonny ClarkはUSA北東部Pensilvenya州出身(デビューは西海岸)で、USAでVoodooが盛んな南部New Orleansとは全く関係ないんだが、どういうことなんだろうか?

テーマはやや不気味な雰囲気で、ClarkなりのVoodooへの印象を綴った曲なのかも。

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実は、Clarkが演奏するVoodooを聴いたのはだいぶ後で、その前に他人の作品で散々聴いていたのでした。

その他人の作品というのが、

The Sonny Clark Memorial Quartet/VOODOO [Black Saint] pub.1986


















Cover Art : Robin Holcomb

1985/11/25-26, NYC
John Zorn (as), Wayne Horvitz (p), Ray Drummond (b), Bobby Previte (ds)

01. Cool Struttin' (from COOL STRUTTIN' [BN] rec.1958)
02. Minor Meeting (from SONNY CLARK TRIO [Time] rec.1960)
03. Nicely (from Jackie McLean/TIPPIN' THE SCALES [BN] rec.1962)
04. Something Special (from LEAPIN' AND LOPIN' [BN] rec.1961)
05. Voodoo (from LEAPIN' AND LOPIN' [BN] rec.1961)
06. Sonia (from SONNY CLARK TRIO [Time] rec.1960)
07. Sonny's Crib (from SONNY'S CRIB [BN] rec.1957)


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それまでもJohn Zornはちょこちょこ聞いていたんだが、小細工が多い作風なので、アルト奏者としての実力はほとんど認識できなかった。asなんか全然吹かない作品も多いし。

それがこの作品で認識が一変。こんなによく鳴り、スイングするアルトだったのか!と。「John Zorn? Black Saint? 守備範囲外、興味ないね」というジャズオヤジにこそ聴いてほしい。

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Cool Struttin' から始めるところなぞ、「あんた日本人?」と思ってしまうが、左様John Zornは1980年代前半には高円寺にアパート借りて、しょっちゅう日本に滞在していたのだ。

当時Blue Note盤がずらりと手に入るのは日本だけだったので、Zornは日本に来て、キング~東芝から再発・発掘されていたBlue Noteを買いあさっていたそうな。マニアだなあ。

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Minor Meetingが一番の聞きどころだろう。よく鳴る上にコブシも転がる転がる。意外にも、John ZornのアルトのルーツがSonny Crissにあることもこれでわかる。

NicelyはClarkの知られざる秀作。1979年にキングからブルーノート世界初登場シリーズで発掘されたJackie McLeanの作品に収録された。なごむ。

肝心のVoodooは11分もあるので、Zornらしさが一番出ている。緩急のメリハリが素晴らしい。Voodooという曲の素晴らしさもこれではじめて認識した。

Soniaは明るい曲調で、たぶん知らないジャズ・ファンが聴いても「このアルトいいじゃないか!これ誰?」と驚くことだろう。それにしても音量、音程、タンギング、スイング感と文句なしですね。

このアルバムには、Time盤TRIOとLEAPIN' AND LOPIN'という後期の作品からの曲が多いのも特徴。1950年代に比べると、曲調がだいぶモダンになってきている。その辺がZornの好みのようだ。

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しかし、こんな名盤が今は中古以外流通していないのは許せんなあ。

まあもっともBlack Saint/Soul Noteは一度潰れそうになって、末期には注文分だけCD-Rに焼いて通販する有り様だったから仕方ない。最近ようやくどっかに買われて、Boxセットから再発が始まっているが、通常盤も早く流通させてほしい。

(ツヅク)

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(追記)@2016/08/30

それにしてもJohn ZornがBlack Saintに現れるというのは珍しい。どういう経緯だったんだろう?

Ray DrummondがBlack Saintに現れるのも、逆方向に珍しい。一人は4ビート専門の人を入れて場を締めた、ってことなんだろうか?

それから、YouTubeに、珍しいThe Sonny Clark Memorial Quartetのライブ映像があった。

John Zorn Live in The Sonny Clark Memorial Quartet & XU FENG; circa 1987 Pt1-4(as of 2016/08/29)
https://www.youtube.com/watch?v=yj11jPwIq94
https://www.youtube.com/watch?v=6g3lRsXr_zM
https://www.youtube.com/watch?v=pyz2ShV3mOA
https://www.youtube.com/watch?v=kr48yf5m4Bo

後半はgame music(注)のプロジェクトHsu Feng(Xu Feng/徐楓)でのライブ。

徐楓とは、どうも台湾の女優さんの名前らしい。Zornの興味はそんなとこまでカバーしてるのか、と驚き。それがなぜgame musicプロジェクトのタイトルなんだか・・・??

(注)

Game musicとは、TVゲームのBGMではなくて、即興実験音楽の一種。演奏は指揮者=prompter(例えばJohn Zorn)が出すカードに書かれた指示に従って行われる。しかしそのカードは束になっており、演奏前にシャッフルされているのだ。つまり指揮者がいるとはいえ、展開は偶然性に支配され、即興音楽の要素が強い。カードに書かれた指示もごく簡単な記述らしい(よく知らないけど)。

John Zornのgame musicで一番有名なのは、

John Zorn/COBRA [hat Hut(日本クラウン)] pub.1991



















Artworks : 玖保キリコ

CD1
1986/05/09, NYC
Jim Staley (tb), Anthony Coleman (p, harpsicord, celesta, org), Wayne Horvitz (p, org, DX7), David Weinstein (kb, celesta), Guy Klucevsek (accordion), Bill Frisell (g), Elliot Sharp (g, b, soprano-g, vo), Art Lindsey (g, vo), Carol Emanuel (harp), Zeena Parkins (harp), Bobby Previte (perc), Bob James (tapes), Christian Marcley (turntables), John Zorn (prompter)

CD2
1986/10/21, live, Renseleer Polytechnic Institute, NYC
J.A. Deane (tb-syn, electronics), AC (p, pipe-org, org), WH (p, org), DW (kb), GK (accordion), BF (g), ES (g, b, vo), BP (drum-machine), BJ (tapes), CM (turntables), JZ (prompter)

2・3回しか聴いてないけど、まだ持ってたな。やはりgame musicはライブで見聴きするものだろう。音だけ聴いてもあまりおもしろいものではない。

COBRAは再発もされているが、ジャケットは無味乾燥な白黒風景写真に変わってしまったので、最近あんまり見なくなった玖保キリコ「いまどきのこども」のジャッケトを紹介しておいた。

玖保キリコとの関係は?というと、もちろん高円寺にしょっちゅう来ていた頃に知り合ったんだそうな。

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(追記2)@2016/09/22

The Sonny Clark Memorial Quartet/VOODOO [Black Saint(ウルトラ・ヴァイヴ/Solid)] 

が、めでたく再発されました。近年、StoryvilleやTimelessの廉価復刻で評価の高いSolidから。

・disk union > Jazz > Modern Jazz > SONNY CLARK ソニー・クラーク Voodoo / ヴードゥー(as of 2016/09/22)
http://diskunion.net/portal/ct/detail/XAT-1245657875
(アーティスト名はなぜかソニー・クラークになっていますが・・・)

今回の復刻はBlack Saint/Soul NoteとCAM。イタリアのレーベルです。

その第1弾にこれを持ってくるところなど、目が高いじゃござんせんか。素晴らしい!

皆さんもこれを機にぜひ聴いてみてください。

2016年6月26日日曜日

音盤テルトン(13) Wayne Shorter/NORTH SEA JAZZ FESTIVAL 2015 - 82歳のWayne Shorterが吹きまくる

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stod phyogs 2016年6月26日日曜日 音盤テルトン(13) 82歳のWayne Shorterが吹きまくる
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実はここ数年、Wayne ShorterとHerbie Hancockばかり聞いていたのでした。

Shorterのリーダー作はほとんど揃い、ブートもCD/DVDが5・6枚といったところ。ブートのほとんどは、2000年以降Shorterが精魂傾けているWayne Shorter 4の録音。

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Wayne Shorter Quartet/NORTH SEA JAZZ FESTIVAL 2015 [Cool Jazz] rec. 2015


















2015/07/11, Rotterdam(Netherland)
WS (ss, ts), Danilo Perez (p), John Patitucci (b), Brian Blade (ds)

01. Unknown
02. Unknown
03. Unknown

レーベルを見てわかるようにブート(海賊盤)です。曲名なしで3 tracks切ってある。

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Shorter 82歳の録音。

最近はもうほとんど吹かず、Danilo Perez Trioでの時間が大半を占める、みたいな噂も聞いていたので、あまり期待していなかったが・・・

Shorter吹きまくりじゃないか!びっくり。

とても82歳のプレイとは思えない。写真を見ると、さすがに座って吹いているようだけど。太ったしね。この年で太れるというのは、健康な証拠。まだまだお迎えが来る気配なし。素晴らしいです。

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Perezのリードに乗っかって、自由に吹きまくるShorter。これは2000年の結成時から全く変わらないフォーマット。最近は曲のテーマやわかりやすいメロディすら出てこなくなっているので、曲名がないと何がなんだかわからない状態。

「たぶんアレ→ソレのメドレーだろうな」という推測はつくが、悲しいかな曲名が出てこない。Shorterファンとしてはまだまだ小僧であることを痛感するなあ。

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Shorter 4結成以降の録音では、

【Boot CD】 JUJU – JUJU [Slang] rec. 2001/07/13
【Official CD】 FOOTPRINTS LIVE ! [Verve] rec. 2001/07 pub. 2002
【Official CD】 ALEGRIA [Verve] pub. 2003
【Official CD】 BEYOND THE SOUND BARRIER [Verve] rec. 2002/11-03/04 pub. 2005
【Boot DVD】 SHANGRILA [Overload Vision] rec. 2004/01/21-25
【Boot CD】 Shorter, Hancock, Holland & Blade/LIVE IN GERMANY [2000GFRR] rec. 2004/07/04
【Boot DVD】 COLOGNE APRIL 30, 2007 [Blue U] rec. 2007/04/30
【Official CD】 WITHOUT A NET [Blue Note] pub. 2013
【Boot CD】 NORTH SEA JAZZ FESTIVAL 2015 [Cool Jazz] rec. 2015/07/11

という具合に持っているが、2007年以降の録音が少ないな。2015年でこんなハイレベルなんだから、その間も期待していいはず。俄然、間を埋めたくなりました。

それにしてもShorterは凄い、というより、もうそら恐ろしい。どこまで続くんだ。

2016年6月19日日曜日

ZOMBIE, VOODOO, SANTERIA, MILTON CARDONA

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stod phyogs 2016年6月19日日曜日 ZOMBIE, VOODOO, SANTERIA, MILTON CARDONA
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ロラン རོ་ལངས་ ro langs(死体が起き上がる)で思い出したのだが、どういうわけか、最近ゾンビ・ブームなのだそうだ。

George Romeroの映画DAWN OF THE DEAD(邦題:ゾンビ)(1978)から実に約40年。ゾンビ・マニアが途切れることなく地味に存在して来たのは知っていたが、なんでまた最近こんなに流行り始めたのか謎。

一説では「ゲームの『バイオハザード』(1996)がトリガーになった」というのだが、ゲーム界の話題には疎いのでよく知らない。

マンガなんかを見ても、ゾンビについての造形はRomeroのものから一歩も出ていないような気もする。ま、zombie自体にはあんまり興味ないです。

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Zombieについての本も結構出ていると思うのだが、その中でも決定版はこれだ!

・檀原照和 (2006.4) 『ヴードゥー大全 アフロ民俗の世界』. 467+xvii pp. 夏目書房, 東京.


装幀:吉本謙次(夏目書房)

といっても、実はzombie自体の本ではない。zombie伝説の大元であるHaitiの民族文化Voodooについての、うん、研究書と言っていいでしょう。

分厚いぞ!重いぞ!

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HaitiやNew OrleansのVoodooだけじゃなく、同源の文化/宗教であるCubaのSanteria、BrazilのCandomblé/Umbamdaも取り上げている。果ては、直接関係ないJamaicaのRastafarianism(ラスタファリ運動)に脱線したりするのも楽しい。

Rastafarianismを除くこれらの宗教/信仰はすべて、西AfricaのYoruba人~Fon人の宗教を起源とし、America大陸の土着信仰や独自の発展が加わった地域ヴァリエーションです。

Voodooは単なる宗教にとどまらず、Latin America~USAの黒人文化の基層となっている重要な概念なのだ。Voodooを語ることは、南・中・北米大陸の黒人文化を語ることに他ならない。

America大陸のポピュラー・ミュージックや黒人文化に興味を持つ人には必読書だ。が、高い本なので、実は私も必用な部分のコピーしか持っていない。講談社学術文庫にならんかねえ・・・。

Zombieについては、p.57~63で取り上げてある。フィクションで描かれるzombieとはだいぶ印象が違うかもね。

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これと一緒に、

・立野淳也 (2001.10) 『ヴードゥー教の世界 ハイチの歴史と神々』. 190pp. 吉夏社, 東京.


装幀:大橋理恵

もどうぞ。こちらはHaitiに集中した本だが、これもすごく役に立つ。

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HaitiのVoodooのヴァリエーションの一つが、お隣りCubaやPuerto RicoのSanteria。

Milton Cardona/BEMBÉ. [american clavé(ewe)] 1987


Design : Capoeira Graphics

1985/08/25-26, NYC
The Eya Aranla Ensemble :
Akpwon(Leader):Milton Cardona (lead-vo, bata, perc)
Bata(Drummers):Hector "Flaco" Hernandez, Steve Berrios, Jose Fernandez
Ankori(Chorus):Sandra "Fela" Wiles, YomiYomi Awolowo, Carole Awolowo, Paulette "Nirvana" Buckley, Amma Oforiwaa Agyapon, Denise Ola DeJean, Linda Evans, Amma Dawn, Teresa Gomez

01. Slatute to Elegua
02. Elegua
03. Ogún
04. Ochosi
05. Ebioso
06. Babalu Ayé
07. Obatalá
08. Changó
09. Yemayá
10. Ochún
11. Odudua
12. Elegua (Closing)

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CubaからUSAに亡命したミュージシャンによるPuerto Ricoの(注)Santeriaの宗教音楽。まるでNonesuchの民族音楽シリーズかと思うほどのディープな作品。

このころKip Hanrahanのamerican clavéレーベルに凝っていた(今も大好き)のだが、その中でもこのディープさには驚いた。こんなものが商業作品としてリリースされるとは・・・。

(注)@2016/06/21

Milton Cardonaは亡命Cuba人だとばかり思っていたが、Puerto Ricanだった。面目ない。

Puerto RicoはCubaのさらにお隣り。文化的には非常に近く、Santeriaもほぼ同じらしい。

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その前に出た

Daniel Ponce/NEW YORK NOW ! [Celluloid/OAO(CBSソニー)] 1983

も、やはりは、亡命Cubanミュージシャンによる作品。こちらも古典Siboneyなども演っていて、やたらディープだったが、BEMBÉの濃さはそれをはるかに上回る。

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BEMBÉとはSanteriaの祭儀のこと。全曲Santeria/VoodooすなわちYoruba/Fonの神々への讃歌で構成されている。楽器はbataのみ(神によってそれぞれリズムが定まっている)で、Miltonとコーラス陣とのCall & Responseで神への讃歌が延々続く。

たぶん、初めて聞く人はチベット仏教音楽とたいして印象が違わないかもしれない。同じく宗教音楽ですから。

曲名はSanteria(Voodoo)の神々の名前なのだが、さっきの『ヴードゥー大全』を参考にすると、このCD(実はアナログも持ってる)がよく理解できます。

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ついでに、

Milton Cardona/CAMBUCHA(CARMEN). [american clavé(Justin Time)] 1999


Design : Capoeira Graphics

1999/01-04, NYC

も紹介しておきましょう。Milton Cardonaのリーダー作2作目。BEMBÉと同様のSanteria音楽に、ピアノ・トリオやホーンなどが加わり、エンターテインメント性を強めたものになっています。

途中からはMilton自身がDoo-Wopヴォーカルなども披露し、american clavéらしくわけがわからなくなってきます。そこに、同レーベルでは珍しいMichael Breckerまでが加わり、実に賑やかな作品となりました。

それにしてもamerican clavéのアートワークは素晴らしい。

残念ながら、Snateria/Afro-Cubanミュージックの巨人であったMilton Cardonaは、2014年に亡くなっています。Orlando Puntilla Riosも2008年に亡くなっているし、american clavéレーベルで活躍したLatin Musicの巨人たちがどんどんいなくなるなあ・・・。

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連想ゲームで、

ロラン → ゾンビ → ヴードゥー → サンテリア → Milton Cardona

と、取り留めのない話に流れてきましたけど、こういう酒場での雑談っぽい流れで書いていくのは楽しいなあ。

読む方が面白いかどうかは知らんが・・・すいません。

2016年5月3日火曜日

音盤テルトン(12) Marian McPartland's PIANO JAZZ : STEELY DAN

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stod phyogs 2016年5月3日火曜日 音盤テルトン(12) Marian McPartland's PIANO JAZZ : STEELY DAN
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こんなのあるの知らなかったぞ。

Marian McPartland's PIANO JAZZ with Guest Steely Dan [Concord / The Jazz Alliance] 2005


















2002/07/23, Unknown, CA?(Radio Broadcast by National Public Radio)
Marian McPartland (p), Donald Fagen (p,vo), Walter Becker (g), Jay Leonhart (b), Keith Carlock (ds)

01. Conversation
02. Limbo Jazz
03. Conversation
04. Josie
05. Conversation
06. Mood Indigo
07. Conversation
08. Star Eyes (MM solo)
09. Conversation
10. Hesitation Blues
11. Conversation
12. Things Ain't What They Used to Be
13. Conversation
14. Chain Lightning
15. Conversation
16. Black Friday

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Jazz Pianist Marian McPartlandがホステスをつとめ、様々なミュージシャンを招き、トークと演奏を交互に送るラジオ番組のCD化。

Bill Evansとのものは昔から有名で、早くから商品として出回っていましたが、それが1978年の録音。

Steely Danとのものは2002年ですから、ずいぶん長寿番組なんですね。「徹子の部屋」と称されるのも納得。

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Steely Danと言っても、AJA(1977)の頃からもうDonald FagenとWalter Becker二人のユニットになっているので、この番組でもゲストはこの二人。

Steely Danは、GAUCHO(1980)からALIVE IN AMERICA(1995)まで長いブランクがある。その間Donald Fagenはソロで超・超・超名作THE NIGHTFLY(1982)を発表。

THE NIGHTFLYがあまりに売れちゃったせいでFagenは全然仕事しなくなり、ソロとしてもKAMAKIRIAD(1993)まで長いブランクとなる。ここで二人は再会。そしてSteely Danの再結成につながります。

2002年というと、TWO AGAINST NATURE(2000)とEVERYTHING MUST GO(2003)の間。特にアルバムのプロモーションというわけではなさそう。ミュージシャンのくせに、あまり人前に出たがらない偏屈王Donald Fagenがどうしたんだろう。

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なお、Keith Carlockは、Steely DanやDonald Fagenの近作ではお馴染みの、お気に入りドラマー。

ベーシストJay LeonhartはJazz畑の人。やはりSteely Danの近作で名前をよく見る、トランペッターMichael Leonhart、ヴォーカリストCarolyne Leonhartの父親。Fagenの近作SUNKEN CONDOS(2012)に参加もしている。

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まずは二人の青春時代の音楽遍歴からトークが始まる。The Nightflyでおなじみ架空のFM局WJAZのモデルとなったFM局WEVDが出てくるのに感動。二人ともWEVDでJazzを聴きまくっていたそうな。(修正@2016/05/05)

というわけで、Steely Danの演奏は7曲ですが、Ellington Tunesが3曲もあります。おもしろい。Fagenの編曲の原点はやっぱりDuke Ellingtonであったか。

McPartlandへのリクエスト・コーナーでもStar Eyesをリクエストする二人。Jazz好きだねえ。

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Steely Danのレパートリーは3曲。AJA(1977)からJosie、KATY LIED(1975)からChain LightningとBlack Friday。

Fagenのピアノと歌、Beckerのギターという骨組みだけでSteely Danの音楽を再現するのは難しいね。

こういうライブだとFagenは声が出ないのがバレバレになるし、ホーン・アンサンブルやコーラス抜きで聴き通すのはなかなか厳しい。味のある声なんだけどね。

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ところが、Walter Beckerのギター・ソロになると、途端にSteely Danの音になるのがおもしろい。「おお、待ってたのはコレ、コレ!」と声を上げそうになった。

Steely Danというと、その95%くらいがDonald Fagenの音楽と思っていたのだが、これを聞くとWalter BeckerいてこそのSteely Danであることがようやくわかった(特に初期)。

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なかなかおもしろいCDでした。

なお、私が入手したのは輸入盤。日本盤にはトークの日本語訳がついているそうなので、トークの内容を詳しく知りたい人は、そっちを入手するのがお得。

トークの全容を理解できなくとも、飛ばしたりせずに本当にラジオを聞き流す感じにしておくのもなかなかいいですよ。

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そういえば、Donald Fagenの自伝

・ドナルド・フェイゲン・著, 奥田祐士・訳 (2014.6) 『ヒップの極意 EMINENT HIPSTERS』. 264pp. DU Books, 東京.
← 英語原版 : Donald Fagen (2013.10) EMINENT HIPSTERS. 176pp. Viking, New York.

というのも出てるんだった。これも読まなくちゃな。

それにしても最近の音楽書では、ディスク・ユニオンとP-VINEがいい仕事してる。

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(追記1)@2016/05/03

このblogはGoogleのblogを使っているんだけど、記事をuploadすると、間髪置かずGoogleのbotちゃんが回ってきて、拾って行ってくれます。Google検索でも比較的上位に置いてくれるので、ありがたい。

15分後には記事も画像もGoogle検索で引っかかってくるんですが、見たところジャケ写は自分のヤツの色合いが一番よく出てる。うれしい。ちょっと曲がっちゃったけど。

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(追記2)@2016/05/05

FM局WJAZのモデルWEVDについて補足し修正。

参考:

・SFGATE > ENTERTAINMENT > RADIO WAVES > Ben Fong-Torres/Donald Fagen's steely love of jazz radio (Published 5:20 pm, Thursday, January 2, 2014)
http://www.sfgate.com/entertainment/radiowaves/article/Donald-Fagen-s-steely-love-of-jazz-radio-5109630.php
・Wikipedia (English) > WSKQ-FM (This page was last modified on 30 April 2016, at 00:35.)
https://en.wikipedia.org/wiki/WSKQ-FM

2016年3月26日土曜日

音盤テルトン(11) Don Cherry/HEAR & NOW - フリー・ジャズでラテン・ロックでチベット仏教で・・・

本エントリーは
stod phyogs 2016年3月26日土曜日 音盤テルトン(11) フリー・ジャズでラテン・ロックでチベット仏教で・・・
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Don Cherry/HEAR & NOW [Atlantic → Wounded Bird]
1976/12, Electric Lady Studios, NYC


















Art Direction : Lynn Breslin

Don Cherryの怪作。一言で言うと、フリー・ジャズの名手Don Cherryで、ラテン・ロックで、チベットもの!というごった煮度。

ジャケットからしてヤバイ。安いチベット布タンカ風の装丁の真ん中に、ポケット・トランペットを持ったDon Cherryが結跏趺坐をしながら空中浮遊しているという・・・。

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Don Cherryは、1970年代前半の北欧在住時代に

Don Cherry/ETERNAL NOW [Sonet] 1973

という作品を残していて、そこではもろにTibetという曲をやっている。

もともとチベットに興味はあったようなのだが、その趣味をより色濃く出したのがこの作品。

だがミュージック・ビジネスは、そんなものを丁寧に扱ってはくれない。これを当時はやっていたラテン・ロックの味付けで売れ線に持って行こうというのが、プロデューサーNarada Michael Waldenのやった仕事。

そもそもDon Cherryを連れて来る時点で、売れ線に・・・という考えがおかしいのだが、自分の筋は曲げずにそこに乗って行く、Don Cherryのフットワークの軽さは素晴らしい。

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01. Mahakali
DC (tp, conch shells, bells, vo), Michael Brecker (ts), Clif Carter (kb), Stan Samole (ld-g), Ronald Dean Miller (rhythm-g), Collin Walcott (sitar), Maki (tamboura), Marcus Miller (b), Lenny White (ds), Narada (tympani), Raphael Cruz (perc)

スピリチュアル・ジャズの世界では、「鈴の音で始まる曲はヤバイ!」という定説がある。この曲では、鈴に続いて出てくるのは、お経にホラ貝と来るんだからヤバすぎる。

その次はtamboura(注1)をバックにDon Cherryと若き日のMichael Breckerが楽器でお経を唱える!!!(注2)もうヤバすぎでしょ、というイントロ。

そして一転、派手なギターがリードする一発もの8ビート・ロック。もう何がなんだかわかりません。その後はこのまま展開するのだが、最後はまた変な終わり方してほしかったなあ。

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(注1)

tambouraは、sitarに似た楽器だが、メロディーを弾かずバックでビョワ~ン、ビョワ~ンとドローンを奏で続ける役割。

・Wikipedia (English) > Tanpura
https://en.wikipedia.org/wiki/Tanpura

そういえば、カザフの弦楽器「ドンブラ」もメロディーを弾かない。これは、名称も楽器自体も関係あると見た。そのうちじっくり調べてみよう。

(注2)

サックスで祈りを唱えるという手法は、1964年にJohn ColtraneがA Love Supreme : Part 4 Psalm(至上の愛:パート4 賛美)ですでにやっている。これも「まるでお経」と言われていた。

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02. Universal Mother
DC (tp, vo), CC (kb), SS (g), Louis Colin (harp), Neil Jason (b), Steve Jordan (ds), Sammy Figueroa (cga), RC (perc)

今度はDon Cherryのトランペット・ソロで普通に始まるが、途中からCherryの語り、そして後半は「オムマニペメフム」が繰り返される。メロディーはちょっとチベット歌謡風でもある。

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03. Karmapa Chenno
DC (tp, vo), CC (kb), SS (ld-g), RDM (rhythm-g), MM (b), LW (ds), SF (cga), RC (perc), Cheryl Alexander (vo), The Supreme (crikets)

まっとうなCarlos Santana風ラテン・ロックかと思いきや、スキャットで奏でられるサビはチベット歌謡風というのだから、わけがわからない。最後のCherryのささやき「パチンコ、パチンコ」はなんだろうか?

「わーひゃー」という叫び(crikets)担当のThe SupremeはもちろんDiana Rossではありません。

曲名はKarmapa chenpo ཀརྨ་པ་ཆེན་པོ་ karma pa chen poの間違いでしょう。ギャルワ・カルマパ16世ランジュン・リクペー・ドルジェ རྒྱལ་བ་ཀརྨ་པ་སྐུ་ཕྲེང་བཅུ་དྲུག་པ་རང་འབྱུང་རྡོ་རྗེ་ rgyal ba karma pa sku phreng bcu drug pa rang 'byung rig pa'i rdo rje(1924-81)のことか?

ネタ元はどうも、1970年代にUSAでチベット仏教の布教に大成功を収めていたチューギャム・トゥンパ・リンポチェ ཆོས་རྒྱམ་དྲུང་པ་རིན་པོ་ཆེ་ chos rgyam drung pa rin po che(日本ではチョギャム・トゥルンパという表記が一般的)ではないか、と思われます。師はカルマ・カギュパのラマなので、 師の本や説法をヒントにこの曲(ひいてはこのアルバム)を作ったんじゃないでしょうか。

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04. California
DC (tp), CC (kb), SS (g), NJ (b), Tony Williams (ds), SF (cga), RC (perc), Ocean

Personnelに「Ocean=波の音」というのが笑える。無駄にTony Williamsまでいるし。

Santana風ラテン・ロック。Don Cherryのトランペットが気持ちよさそうにそれに乗っかります。

なんでCaliforniaかというと、1970年代のCaliforniaは神秘思想家やヒッピーたちの聖地だったのです。Don Cherryの当時の趣味・嗜好が如実に現れている。

その辺の事情は、

・海野弘 (2001.2) 『癒しとカルトの大地:神秘のカリフォルニア』(カリフォルニア・オデッセイ4). 300pp. グリーンアロー出版社, 東京.

に詳しい。

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05. Buddha's Blues
DC (tp, fl), CC (kb), SS (g), NJ (b), TW (ds), SF (cga), RC (perc)

タイトルのミスマッチ感が秀逸!仏伝を思い出しながらこれを聞くと、実はなかなかはまるのですよ。釈尊って、考えてみれば結構ファンキーな経歴だ。

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06. Eagle Eye
DC (fl), SF (cga), RC (perc)

Don Cherryの息子は、シンガー・ソング・ライターのEagle Eye Cherry(1971-)。当時5歳の息子に捧げたものか。

1970年代Don Cherryらしいエスニック・チューン。短いよ。

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07. Surrender Rose
DC (tp), CC (org), Nd (p, el-p, tam tams), SS (g), LC (harp), NJ (b), SJ (ds), RC (perc), CA (cho), Phoenix Volaitis (cho), Patty Scialfa (cho)

ハープが支配するベタに美しい曲だが、このアルバムに混じると、逆になんだかわからなくなる。

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08a. Journey of Milarepa
08b. Shanti
08c. The Ending Movement - Liberation
DC (tp), CC (kb), SS (g), NJ (b), SJ (ds), SF (cga), RC (perc)

これもラテン・ロック。それでいて曲名は「ミラレーパの旅」なんだから、脳みそグチャグチャ。仰々しい副題のわりに、最後はあっさり終わる。

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ジャケットから曲名から中身から、すごく怪しげな作品に思うかもしれないが、聴後感(?)は意外にさわやか。収録時間も短いので、「Don Cherry?フリー・ジャズ?」とアレルギーを持つ人もとっつきやすいのではないか。

しかし、フリー・ジャズの名手Don Cherryを引っ張ってきて、フュージョン界の(当時の)若手を揃え、ラテン・ロックに乗っけてみようという発想がぶっ飛んでいる>Narada Michael Walden。

それにさらにチベットものをかぶせてくるDon CherryもDon Cherryだが。

ミュージシャンとプロデューサーが全く別方向を向いて作った作品なのだが、それが衝突するわけでなく、融合するわけでもなく、妙な具合に共存している所がこのアルバムのおもしろさ。これはDon Cherryの人柄=広い許容度がなせる技だろう。

結果、ワケのわからない作品ができあがったわけですが、こういう脳みそがグチャグチャにかき回される感覚は大好きです。

2016年1月18日月曜日

ISLAND LIFEジャケ写の種明かし

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stod phyogs 2016年1月18日月曜日 ISLAND LIFEジャケ写の種明かし
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ISLAND LIFEのジャケット写真は相当なインパクトだったようで、「grace jones island life」で画像検索すると、真似やらパロディやらイラスト化やらCGだのぞろぞろ出てきます。

その中でひっかかってきた衝撃の種明かしがこれ↓

・afrobella > Moments of Black Beauty History – Grace Jones Island Life Cover Photo FEBRUARY 4, 2013
http://www.afrobella.com/2013/02/04/28-moments-of-black-beauty-historygrace-jones-island-life-photo/

なんと、あの写真はコラージュだったのです。言われてみれば「美しすぎる!」

でも、Grace Jonesならあのポーズも可能だろう、と思わせるところが彼女の凄さ。騙されてもちっとも不快じゃないよ。

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当時のGrace Jonesヴィジュアルの仕掛け人はというと、フランス人写真家・グラフィックデザイナーであるJean-Paul Goude。彼はGraceの夫でもありました(ちゃんと結婚したのか知らないが)。

NIGHTCLUBBINGのジャケット・デザインもGoudeです。あれは一見写真に見えますが、実はイラストなのです。おそらく実際の写真よりも黒く、そしてソリッドに仕上げられていると思われます。

当時Hyper Realismというイラスト・スタイルが大流行。NIGHTCLUBBINGもエアブラシを駆使して仕上げられたのでしょう。

この売り出し戦略には舌を巻きますね。世界中が乗せられたわけです。

繰り返しますが、でも騙されて爽快。いったい、ただでさえ高カロリーのGrace Jonesのキャラに、さらに「虚構」という濃厚なソースをかけられたら、喜んで食べるしかないじゃありませんか。

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ISLAND LIFEのジャケ写に影響を与えたと思われる写真があります。

・JOELIX.COM > SOOOO GOUDE ! thursday 16 february 2012
http://www.joelix.com/Soooo-Goude

これもコラージュでしょう。そして作者はやっぱりJean-Paul Goude。黒人女性の美しい肢体が昔から好きなんですね。

Goudeは、他にもNaomi CampbellやBjorkのアート・ディレクションなどで有名。Naomiとチーターが駆けっこする写真なんか大好き(これも当然合成でしょうけど)。

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(追記)@2016/01/23

ISLAND LIFEの画像検索はほんと楽しい。面白いものをいくつか。

・ZBrushCentral > User Gallery > sgrell > Grace Jones Tribute 10/05/2009
http://www.zbrushcentral.com/showthread.php?65720&p=616086&viewfull=1#post616086

素晴らしい!作者はsgrell(Simon Grell)という人。プロかセミプロか知らないが、Grace Jonesに目をつける所がタダモノではない!

「素材はなんだろうなあ?」と思ったら3D CGだったのね。この手の話には疎いんだけども、ZBrushというCGソフトについては、ここをどうぞ↓

・WIRED > NEWS 2015.3.14 SAT これからCGデビューする人は、幸せである。ZBrushがあるのだから(TEXT BY ASSAwSSIN, PHOTOGRAPHS BY SHIN-ICHI YOKOYAMA)
http://wired.jp/2015/03/14/zbrush/

それにしても便利な世の中になったものだ。3Dプリンタと連動させれば、ちゃんと立体にもなるし。立体も見たいぞ、それも3mくらいのヤツが!

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お次は、

・DDA / ACID POP ! > Grace Jones Island Life Album Picture by Jean-Paul Goude (Publié par DDA à 5/11/2009)
http://deedoolife.blogspot.jp/2009/05/grace-jones-island-life-album-picture.html

ISLAND LIFEジャケ写のパロディがぞろぞろ集まっていますが、注目は一番下の「編み物ISLAND LIFE」。

いいですねえ。コースターに一つほしい。

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はい次、

・ebay(Netherland) > Collectables > Kitchenalia > Mugs > Grace Jones Island Life Famous Pose Great New MUG (Laatst bijgewerkt op 08 sep 2015 14:19:17 CEST)
http://www.ebay.nl/itm/Grace-Jones-Island-Life-Famous-Pose-Great-New-MUG-/221632295521

通販/オークション・サイトebayのオランダ版です。出品者はUK在住ですけど。

ISLAND LIFEのマグカップが、送料入れてGBP13.99(JPY2382@2016/01/23)。ちょっとほしいな(笑)。

しかし、これきちんとした商品なんだろうか?自作/海賊版のような気も・・・。

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それにしても、これだけパロディ作品があふれるということは、すでにスタンダード~古典の仲間入りをしている、ってことですね。

偉大なり!Grace Jones!そしてJean-Paul Goude!

2016年1月17日日曜日

音盤テルトン(10) Grace Jones 3連発 → 4連発

本エントリーは
stod phyogs 2016年1月17日日曜日 音盤テルトン(10) Grace Jones 3連発 → 4連発
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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職を変えたばかりなので、しばらくは調べものをする余裕がなさそう。最近言い訳ばかりですが、仕方ない。すいません。

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Grace Jonesを3枚 4枚拾ってきました。どれも最近再発がないので結構プレミアついてることが多いんだけど、わりと安く手に入ったんでうれしい。

まずはこれ。

Grace Jones / ISLAND LIFE [Island(ポリスター)] 1985


















01. La Vie En Rose (from PORTFOLIO 1977)
02. I Need A Man (from PORTFOLIO 1977)
03. Do or Die (from FAME 1978)
04. Private Life (from WARM LEATHERETTE 1980)
05. Love Is the Drug (from WARM LEATHERETTE 1980)
06. I've Seen That Face Before (Libertango) (from NIGHTCLUBBING 1981)
07. Pull Up to the Bumper (from NIGHTCLUBBING 1981)
08. Walking in the Rain (from NIGHTCLUBBING 1981)
09. My Jamaican Guy (from LIVING MY LIFE 1982)
10. Slave to the Rhythm (from SLAVE TO THE RHYTHM 1985)

Islandレーベル時代のベスト盤です。

内容もすごいんですが、ジャケット写真が秀逸。ジャケ買い盤の中では1・2を争う美しさ。

全10曲中、Sly & Robbieと組んだWARM LEATHERETTE、NIGHTCLUBBING、LIVING MY LIFEの3枚からの選曲が6曲を占めるわけで、充実ぶりは文句なし。加えて、デビュー作からは名演La Vie En Rose、本ベスト盤発表当時のヒット曲Slave to the Rhythmも入って、幕の内弁当度も抜群。

これは中東在住時代に買った海賊版カセット・テープで持っていて、死ぬほど聞いた。ようやくCDが入手できてうれしい。これ、アナログ盤だったら、ジャケットは一層迫力だろう。いまだ見たことはないが、ぜひ持っていたい。

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Grace Jones / WARM LEATHERETTE [Island(ポリスター)] 1980 (2016/03/14追加)


















Grace Jones (vo), Wally Badarou (kb), Barry (White) Reynolds (g), Michael (Mao) Chung (g), Robbie Shakespear (b), Sly Dunber (ds), Uzziah (Sticky) Thompson (perc)
1980.00.00 Compass Point Studio, Nassau (Bahamas)

01. Warm Leatherette
02. Private Life
03. A Rolling Stone
04. Love Is the Drug
05. The Hunter Gets Captured by the Games
06. Bullshit
07. Breakdown
08. Pars

Sly & Robbieと組んだ第1作。それまでの3作(PORTFOLIO、FAME、MUSE)のディスコ・サウンドから一変。Island Recordsの社長Chris Blackwellが直々にProduceに乗り出した肝いりのプロジェクト。そしてそれは大成功をおさめる。

何度聴いてもジャンル不詳。当時はNew Waveというジャンルに入っていたと思うが、それにしても昔の「Newナントカ」って、後になると恥ずかしいですね。一応ここでは「ソウル」というジャンルでくくってみたが、たぶん違いますね。米Black Musicとは、文脈が全然別だし・・・。結局Popsでいいような気も。

ジャケットは1983年の再発盤のもの。CD化に当たって、いくつかのトラックは12"single versionsに置き換えられている。

Love Is the Drugなんかは、ISLAND LIFEに入っている7"version(オリジナルLP版)の方(プッチョコプッチョコ電子音が入っていてオトボケ度が強い)を聞き慣れているので、CD版の方が違和感ある。

なんといっても、GraceのナレーションとSly Dunbarのリムショットを軸に展開されるPrivate Lifeが圧倒的にカッコイイ。原曲はPritendersなんだが、Sly & Robbie流に大胆に変形されている。

他の曲ではちょっとSly & Robbieの色は抑え気味。しかし、singule-cutの中では、Private Lifeが一番ヒットしたせいもあり、次のNIGHTCLUBBINGでは、Sly & Robbieの色をより強く打ち出したアルバム作りになり、Grace JonesもSly & Robbieも大爆発。

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Grace Jones / NIGHTCLUBBING [Island(ポリスター)] 1981


















Grace Jones (vo), Wally Badarou (kb), Barry (White) Reynolds (g), Michael (Mao) Chung (g), Robbie Shakespear (b), Sly Dunbar (ds), Uzziah (Sticky) Thompson (perc), Others
1981.00.00 Compass Point Studio, Nassau (Bahamas)

01. Walking in the Rain
02. Pull Up to the Bumper
03. Use Me
04. Nightclubbing
05. Art Groupie
06. I've Seen That Face Before (Libertango)
07. Feel Up
08 Demolition Man
09. I've Done It Again

Sly & Robbieと組んだ2作目。1作目のWARM LEATHERETTEはまだ拾えてないが、いずれ。

Grace Jonesを初めて知ったのはたしかこれ。角刈りの黒人女性(それも漆黒の肌)が素肌にアルマーニのジャケットを着ているという・・・とにかくジャケットのインパクトが凄すぎて、とても実在の人物とは思えなかった。Grace Jonesの本職はモデルと知ったのは、しばらくしてから。

当時は美しいというよりは、なにか恐ろしかった記憶がある。そのうち深夜TVでプロモビデオが流れるようになり、動き歌うGrace Jonesを見た。

「ええー!」驚愕でした。もうこの世のものとも思えない異様さだが、実在の人物だったのだ。さすがにあのルックスは、ジャケット用の特殊メイク&ファッションだと思っていたのが、実はあのまんま(笑)。当時は(今もだが)かなりのキワモノ扱いだったと思う。

はじめは見た目のインパクトで気になる存在だったのが、次第に音楽性の凄さに気づくことになる。

Graceの声量もすごいし、リズムの躍動感がすごい。リズムチームはご存知Sly & Robbie。Sly & Robbieをはじめて知ったのもこれだったと思う。地をのたうつRobbieのベースに、絶妙のタイミングで入るSlyのリムショットにスネア。酔いましたよ。

たしか(サブカル誌だったころの)宝島に、Sly & Robbieのインタビュー(というよりたまたま会ったので軽く雑談した感じ)があって、「今まで一緒に演って一番エキサイティングだったミュージシャンは?」との質問に、「うーん、Grace Jonesかな」と答えていた。

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Grace Jones / LIVING MY LIFE [Island(ポリスター)] 1982



















Grace Jones (vo), Wally Badarou (kb), Barry (White) Reynolds (g), Michael (Mao) Chung (g), Robbie Shakespear (b), Sly Dunbar (ds), Uzziah (Sticky) Thompson (perc)
1982.00.00 Compass Point Studio, Nassau (Bahamas)

01. My Jamaican Guy
02. Nipple to the Bottle
03. The Apple Stretching
04. Everybody Hold Still
05. Cry Now – Laugh Late
06. Inspiration
07. Unlimited Capacity for Love

快調のSly & Robbieとの3作目。

ジャケット写真は、角刈りを強調したトリミングで、シンプルながらもこれも凄すぎです。

この頃になると、Grace Jonesもキワモノではなく一流ミュージシャンとして扱われていたと思う。それどころではない。これらは今聞いても全く古さを感じないし、本当に歴史に残る名作になっていると思う。あまり再発されないのが異常だ。

バックも全く変動なし。鉄壁のリズム隊です。このバンドは当時、まるまるBlack Uhuru(Michael Rose+Duckie Simpson+Puma Jones時代)のバックバンドでもあった。どちらでも凄まじいリズムを叩き出しており、Sly & Robbieの凄さには呆れるほかない。

Black Uhuruは1984年のLive under the Skyで来日しており、すごい迫力だった。彼らのステージを見ることができたのは幸運だった。というのも、このチームでのBlack Uhuruは、この直後に解散してしまったから。

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Grace Jonesは、次作のSLAVE TO THE RHYTHM(1985)でSly & Robbieとは離れ、Trevor Hornとのプロダクションとなる。このアルバム、特にタイトル曲はかなりヒットしたが、さすがにSly & Robbieの不在は大きく、リズムの物足りなさばかりを感じた。ジャケットは相変わらず凄かったけど。

その次のINSIDE STORY(1986)、BULLETPROOF HEART(1989)も一応追っかけたが、ほとんど印象に残っていない。ジャケットはこの頃も凄いよ。

とにかくインパクトを世に残し続けている人。それは今も変わらない。「20世紀の怪人100」なんていうセレクトがあれば、必ず入るだろう(失礼!)。

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でも、Grace Jonesのミュージシャンとしての代表作が、Sly & Robbieとの3作であることには異論はないだろう。この3作はなかなか入手難なのだが、最初に挙げたISLAND LIFEをはじめ、ベスト盤はいろいろ出ているので、そちらを当たってもセレクションは大差ない。

中でも

Grace Jones / PRIVATE LIFE : THE COMPASS POINT SESSIONS [Island] 1998

というCD2枚組は、上述の3枚+未発表曲+シングルヴァージョンなどを含んでおり、ベスト盤中のベストと言えるだろう。

是非欲しいのだが、これもなかなか見かけないですね。Amazonあたりで買ってもいいんだけど、まあ店頭で遭遇する瞬間を楽しみにしていよう。

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最近、若い時に聞いてたジャズ以外の音楽(Style CouncilやらSwing Out SistersやらBlack UhuruやらPolice/Stingなんか)を再び集めているのだが、やっぱり若い時に聞いた音楽はしっくり来る。

1980年代初頭というのは、すごい面白い時代だった、と思う。が、実は「自分の若い時が一番面白い時代だった」というのは、皆がそれぞれ思っていることなので、絶対的な評価は下すことができませんね。

それぞれがそう思ってればいいのだ。

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しかし、Grace Jonesは今の時代でも十分通用するし、若い人たちにもぜひ聞いてほしい。

YouTubeあたりにもたくさん転がってるし。なによりもまず、あのヴィジュアルに腰を抜かしてほしい。そしてそこから、Grace Jones/Sly & Robbieの音楽自体に興味を持ってほしい。スゴイよ、とにかく。

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(追記)@2016/03/14

WARM LEATHERETTEの項を加えた。よってタイトルも「Grace Jones4連発」に変更。

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(追記2)@2016/03/14

こんなベスト盤もあります。

Grace Jones / ICON [Universal International] 2012 


















01. Inspiration (from LIVING MY LIFE 1982)
02. Warm Leatherette (from WARM LEATHERETTE 1980)
03. Pull Up to the Bumper (from NIGHTCLUBBING 1981)
04. Love Is the Drug (from WARM LEATHERETTE 1980)
05. Nightclubbing (from NIGHTCLUBBING 1981)
06. Use Me (from NIGHTCLUBBING 1981)
07. Art Groupie (from NIGHTCLUBBING 1981)
08. Nipple to the Bottle (from LIVING MY LIFE 1982)
09. Bullshit (from WARM LEATHERETTE 1980)
10. Breakdown (from WARM LEATHERETTE 1980)
11. Demolition Man (from NIGHTCLUBBING 1981)
12. La Vie En Rose (from PORTFOLIO 1977)
13. My Jamaican Guy (from LIVING MY LIFE 1982)
14. Feel Up (from NIGHTCLUBBING 1981)
15. Walking in the Rain (from NIGHTCLUBBING 1981)

La Vie En Rose 1曲を除き、すべてSly & Robbieとの3作からの選曲で、ISLAND LIFEよりも統一感があります。特に、最高傑作NIGHTCLUBBINGからは9曲中7曲選ばれていて、お得感あり。

名曲I've Seen That Face Before (Libertango)(Astor Piazzollaですな)が落ちたのはちょっと惜しいけど。