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2019年4月20日土曜日

KEROUAC & THE BEAT GENERATION (03) Jack Kerouac 『THE SUBTERRANEANS(地下街の人びと)』

・ジャック・ケルアック・著, 真崎義博・訳 (1997.3) 『地下街の人びと』(新潮文庫). 195pp. 新潮社, 東京.


カバー装画:飯田淳, デザイン:新潮社装幀室

← 英語原版 : Jack Keouac (1958) THE SUBTERRANEANS(An Evergreen Book). 111pp. Grove Press, NYC.

なお、上記書は新訳で、旧訳として

・ジャック・ケラワック・著, 古沢安二郎・訳 (1959.7) 『地下街の人びと』(新潮・現代世界の文学). 196pp. 新潮社, 東京.

というのもある。

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これは、『ON THE ROAD』の後、1953年のお話。『ON THE ROAD』同様、ほとんど私小説。

作者の分身Leo Percepiedと、黒人女性Mardou Fox(Alene Leeがモデル)の出会いと別れを描く。そこに、Beat Generationのボヘミアンたちの日々が散らされる。

なお小説では、舞台はSan Franciscoに変えられているが、実際はNew Yorkのお話である。

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『ON THE ROAD』では、主人公がどんどん移動していくので、主人公の意識だだ漏れ文体でも、読者もそれにつられてフレッシュな感覚を持続でき、面白く読んでいけた。

しかし、本書のように、定住し、狭い地域、狭い人間関係の中で、同じ手法を取られると、なかなかにつらい。堂々巡り、煮詰まり感、螺旋状に険悪に落ちていく人間関係・・・。

しかし、ダラダラ若者文化の黎明期の姿が実写されており、その意味ではとても面白い。やっぱりこれは、読むより実践したほうが面白いに決まってる。

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なお、本作の登場人物もいずれもモデルがあり、

Adam Moorad(Allen Ginsbergがモデル)
Frank Carmody(William S. Burroughsがモデル、北Africa出身の作家ということになっている)
Jane(Joan Vollmer=Burroughsの妻がモデル、小説上でも死んでいる)
Sam Vedder(Lucian Carrがモデル)
Leroy(Neal Cassadyがモデル)
Yuri Gligoric(Gregory Corsoがモデル)

なので、これを念頭に読むとまた違って見えるかもしれない。

なお、前回紹介した『ケルアック』には、Kerouac全小説での「登場人物名-実在の人物名」対比表がある。便利。

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ただし、1953年当時、BurroughsはとっくにMexicoに去っている。私小説とはいえ、時空はねじ曲がっている。1940年代のBeat Generationの日々がかなり反映されていると思った方がいい。

なお、BurroughsのJoan射殺事件は1951年だから、小説上ではJoanがモデルのJaneがすでに死んでいるのは、そこだけ変に時系列に忠実でおもしろい。

発表は1958年なのだが、小説の舞台となった1953年夏の直後にはKerouacはこの小説をもう書いていた。だが、その後何度も書き直しているため、その後の情報が混入しているのだ。

BurroughsがモデルのFrank Carmodyが北Africa出身になっているのも、1958年の発表当時BurroughsがTangierに住んでいたことが反映されているし。

参考:
・Wikipedia (English) > The Subterraneans (This page was last edited on 15 January 2019, at 02:21 (UTC).)
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Subterraneans
・David S. Willis/Beatdom > Christina Diamente/Walking With the Barefoot Beat: Alene Lee (Posted by David S. Wills on February 17, 2010)
http://www.beatdom.com/walking-with-the-barefoot-beat-alene-lee/

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なお、『THE SUBTERRANEANS(地下街の人びと)』は映画化されているのだが、その映画についてはのちのentryで触れる。

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(追記)@2019/04/20

しかし、「THE SUBTERRANEANS=地下街の人びと」という邦題はどうなんだろ。地下室の部屋に集まって、ウダウダする連中の話なんだが、地下街ではないよな。

2019年4月16日火曜日

KEROUAC & THE BEAT GENERATION (02) 『JACK'S BOOK(ケルアック)』

Kerouacの伝記はいくつもあるのだが、私が読んだのはこれだけ。

・バリー・ギフォード+ローレンス・リー・編著, 青山南+堤雅久+中俣真知子+古屋美登里・訳 (1998.1) 『ケルアック』. 542+xxiv pp. 毎日新聞社, 東京.


装幀 : 坂川事務所

← 英語原版 : Barry Gifford+Lawrence Lee (1978) JACK'S BOOK : AN ORAL BIOGRAPHY OF JACK KEROUAC. 339pp. St. Martin Press, NYC.

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この本はなぜか全然知られていないし、Amazonあたりの書評も全くない。不思議な本。

そもそも、1978年の本が20年後に翻訳されたのも謎だし、それを毎日新聞社が出したのもわからない。当時、日本で何かKerouac関連のeventってあったのかなあ?

・スティーブ・ターナー・著, 室矢憲治・訳 (1998.11) 『ジャック・ケルアック 放浪天使の歌』. 376pp. 河出書房新社, 東京.
← 英語原版 : Steve Turner (1996) ANGELHEADED HIPSTER : A LIFE OF JACK KEROUAC. Viking, NYC.

が出たのも同年だ。なんでかなあ?1997年にGinsbergとBurroughsが亡くなった影響はあるかもしれないな。

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全部で600ページ近くあるし、値段も3400円+税と高い。おそらく刷り部数も少なかったのだろう。毎日新聞社は、当時もすでに出版に熱心な新聞社ではなくなっていたし。

古本でも見かけたことがなかった。それで今回ようやく読んだわけ。

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Kerouacの人生を、友人たちの証言で追うdocumentary。1978年当時はまだ珍しかった「oral history」という手法だ。編著者の主観よりも、証言を重視している。観念的な話が少ないので、すごく読みやすい。

証言者ごとに訳者を割り振って、言い回しを統一しているのも面白い。

Burroughsの証言が3つしかないのは物足りないが、訳文はいかにもBurroughsらしいcoolな口調になっている。素晴らしい。Burroughsの映像なども参考にして訳文を作っていると思う。

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これを読むと、Kerouacはなかなか自分の本が出してもらえず、けっこう苦労したことがわかる。『ON THE ROAD』も出版されるまで10年くらいかかってる。

もちろん、その間何度も書き直していることも記述されており、「三週間で書いた」がハッタリであることもバレている。

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1957年に『ON THE ROAD』が出る頃には、その後に出る諸作もすでに書き終えていた。だから、この伝記も『ON THE ROAD』が出て大ヒット、その熱狂に巻き込まれるところで実質的に終わっている。

そのあとは、虚脱して酒に溺れていくKerouacの惨めな姿を見るしかない。読むのも辛い。Jaco Pastriusと似たところがあるね。「一度は大仕事を成し遂げた自分」との戦いだ。

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本書で一番長い章は「3 The Road(路上)」。これは『ON THE ROAD』の元ネタになった旅の日々を追う章。主人公はKerouacというよりNeal Cassady。Kerouacの影は薄い。

しかし、Nealが中心になる分、Nealとその女たちの話ばっかり。果てしなく続く痴話喧嘩にへきえき。(日本の)ヤンキーの身の上話を居酒屋で延々聞かされているような感じ。

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『ON THE ROAD』ではMarylouという名で登場するLu Anne Henderson(1930-2009)の証言もたくさんある。この人は、Nealが最初に結婚した娘で、結婚当時15歳。

写真を見るとなかなかカワイイ娘だ。一見小柄に見えるが、身長は170cm以上らしい。

だが、本書に見える言動を見ると、これが見事な「アーパー娘」。

Nealと離婚した後も、他の男と結婚した後も、Nealと関係を続け、2番めの妻Carolyn(『ON THE ROAD』ではCamille)を悩ませ続けた。

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こんなアーパー娘にも、評伝(というよりiinterview本)があるのだ。『ON THE ROAD』のご威光はすごいね。著者の片割れはLu Anneの娘さん。

・ジェラルド・ニコシア+アン・マリー・サントス・著, 堀江里美・訳 (2013.7) 『ガールズ・オン・ザ・ロード』. 253pp. 河出書房新社, 東京.


装丁 : 水戸部功

← 英語原版 : Gerald Nicosia+Ann Marie Santos (2011) ONE AND ONLY : THE UNTOLD STORY OF ON THE ROAD AND LU ANNE HENDERSON, THE WOMAN WHO STARTED JACK KEROUAC AND NEAL CASSADY ON THEIR JOURNEY. 244pp. Viva Editions, Berkeley (CA).

同書は、Nicosiaが1978年にLu Anneにinterviewした内容が中心。長らくお蔵入りとなっていたが、2011年にようやく陽の目を見た。

NicosiaにLu Anneの居所を教えたLarry Leeという人物は、『ケルアック』の著者の一人Lawrence Leeと同一人物。Nicosiaに先立ってLu Anneにinterviewし、『ケルアック』に収録したものとみられる。両証言は当然重複する内容が多い。

でも、このLu Anneの証言からですら、Kerouacらの旅の様子は至極楽しそうなのが伝わってくる。

だが、San FranciscoでNealが、金も尽きたLu AnneとKerouacを置き去りにして逃げて行った時には相当ショックだったらしく、interviewでは何度もこの話を繰り返し、恨みつらみをinterviewerにぶつける。どうもNealはLu Anneが邪魔で、Kerouacに押しつけようとしたらしい。クズ野郎ですね。

二人も危うく出来上がりそうだったのだが、Kerouacはどっと落ち込んで動きもせず。結局、母親から送金してもらって、バスでNYCに帰った。この辺のKerouacのダメっぷりは自著ではあまり描かれないところ。

後半は、Nealの親友Al Hinkle(『ON THE ROAD』ではEd Dunkel)への取材を再構成したもの、そしてLu Anneの娘Ann Marie Santosによる母の回想。

この本は、Lu Anneを肯定的に描くことに努めているのだが、まあ話半分で・・・。

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『ケルアック』に戻って・・・

初めて知っておもしろかったのは、BurroughsとNealは相性が悪かったらしいこと。確かにBurroughsの口からNeal Cassadyの話が出てくることはない。

BurroughsがLouisiana州Algiersで暮らしていた1949年に、Kerouac、Neal一行がBurroughs宅を訪れるが、その際にも二人は互いを避けていたようだ。

確かに、躁病のスケコマシ+歩く陽物Nealと、陰鬱な学者肌Burroughsが合うとは思えない。それでも両者は、一緒くたにBeat Generationとしてくくられているんだからおもしろい。

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Kerouacの自著や既存の情報ではあまり明らかにされていない、Keouacの同性愛やdrugとの関わりがいろいろ出てきているのも面白いところ。

Kerouacは基本heterosexalだったが、どうもNealとは同性愛関係にあったようだ。限定的bisexual。ただし、肉体関係にはそれほど深入りしてはいなかったようで、「Kerouacはheterosexualだよ」と断言する人も多い。

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KerouacはBenzedrine(覚醒剤の一種、当時は合法)を多用しながら一気に『ON THE ROAD』や『THE SUBTERRANEAN』を書き上げた、という神話は有名。ただしこれは多分にハッタリが入っている。

確かに、果てしなく続くスピード感は、upper系drugの力を強く感じる。だが、あのスピード感はKerouacがもともと持っていた資質でもあり、drugはそれをちょっと助けた程度ではないか。

Marijuanaは結構やっていたようだ。Kerouacのあのダラダラ文体は、marijuanaで止めどなく湧いてくるimageによるもの、という説もある。

しかし、Kerouacはdrugよりも酒の人だ。この本でも最後はKerouacのアル中episodeであふれている。人集めが好きだったKerouacにとっては、自分の中に閉じこもるdrugよりは、やっぱり酒だったのだろう。

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本書は読み物としてもおもしろいのだが、巻末の「Kerouac小説の登場人物名-実在の人物名」対照表、Keouac著作リスト(ご丁寧に、執筆年、発表年、小説のモデルとなっている年が並べてある)、索引などの資料も充実。これを使って何か書くには最適な、Beat Generation資料集でもある。

この証言集・評伝が埋もれたままなのはもったいない。文庫化してほしい。でも無理かなあ。大部すぎる。

これから、Kerouac & The Beat Generationの話が延々続くのだが、折々でこの『ケルアック』からのネタも投入していくことにしよう。

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(追記)@2019/04/16

『ON THE ROAD』が大ヒットし、登場人物は仮名だったものの、Dean MoriartyのモデルがNeal Cassadyであることは、世間にはバレバレだった。

おかげでNealはすっかり警察にマークされ、1958年にはmarijuana不法所持・売買で逮捕。2年間の獄中生活を送る羽目になった。

ちょっとかわいそうでもあるが、自業自得の面が大きいので、さして同情はできない。

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(追記)@2019/04/17

青字を追記した。

2019年4月12日金曜日

KEROUAC & THE BEAT GENERATION (01) Jack Kerouac 『ON THE ROAD(オン・ザ・ロード/路上)』

Jack Kerouac(1922-1969)はUSAの小説家。Allen Ginsberg、Willam S. Burroughsと共にBeat Generation=Beatnikという文学グループを形成していたとされる。

とはいえ、この三人はそれぞれ芸風が全く違う。この三人は、単に若い頃一緒につるんでいた仲間たちで、それが同じ頃に評価され始めたため、一緒くたにされているだけ。

しかしながら彼らは、WWII直後という時代に、進路も定まらずブラブラしているという、今でいうmoratoriumを体現していた。1960年代以降はごくありふれた風景である、「ダラダラ若者文化」の範となった連中なのだ。

そういったBeatnikたちは、確かにある程度同じグループにくくれる面はある。

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Kerouacの小説は10冊以上邦訳されているが、

・ジャック・ケルアック・著, 青山南・訳 (2010.6) 『オン・ザ・ロード』(河出文庫). 524pp. 河出書房新社, 東京.


カバー装画 : 下田昌克, カバーデザイン : 緒方修一

← 原版 : (2007.11) (池澤夏樹・編 世界文学全集1-01). 河出書房新社, 東京.
← 英語原版 : Jack Kerouac (1957) ON THE ROAD. 310pp. Viking Press, NYC.

にとどめを刺す。というより、これ一冊読んでおけば十分、というKerouacの代表作だ。

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なお、上掲書は新訳で、旧訳として、

・ジャック・ケルアック・著, 福田実・訳 (1959.10) 『路上』(世界新文学双書). 河出書房新社, 東京.
→ 再発 : (1970.8) (モダン・クラシックス)/(1977.10)(世界海外小説選)/(1983.2) (河出文庫) いずれも河出書房新社, 東京.

もある。お好きな方をどうぞ。

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『ON THE ROAD』は、Kerouacの分身であるSal Paradiseが、ヒッチハイク、バス、自家用車などでUSAを数度に渡り横断した際の、いわば旅行記だ。

BackpackersのBibleとも言われ、日本でも1960~70年代にUSAを横断する旅行スタイルが結構流行った。

しかし、行き先がAsia中心に変わった1980年代以降のbackpackersにとっては、「これがbackpackersのBible」と言われても、ピンと来ないのではないだろうか?

でも、いわゆる大上段に振りかぶったテーマ性もなく、あちこちを無軌道にうろつく旅行スタイルは、確かにbackpeckerの祖と言えよう。

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Salは自発的に旅立つときもあるが、旅の原動力となっているのは、友人Dean Moriarty。

こいつは、周囲を振り回すタイプのいわゆるmood makerで、なおかつtrouble maker。押しが非常に強く、ハッタリ屋でもある。一見とても魅力的な人物なので、色んな連中がこいつに引っかかる。

ところが、こいつは全くの無責任野郎で、あちこちに女を作ってはそれぞれにテキトーな事を言って回る男。しょっちゅう自分で自分を窮地に陥れるような奴だ。

自分の周囲には、いてほしくないタイプだなあ。いや、実際いたことがあるのだが、当然へきえきしたよ(笑)。

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このDean Moriartyにも実在のモデルがいる。それがNeal Cassady(1926-1968)。

こいつは、『ON THE ROAD』のMoriartyそのままの生き様だったらしい。Beatnikの連中には大きな影響を与えたようだが、自分は特に作品らしきものを残していない。まさにHippie Generationの元祖だ。

ちなみにNealの最期は野垂れ死に。

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小説では、Salは比較的受動的でおとなしい人物像だが、Kerouac自身はもう少し積極的に動く人物だったように思える。

思うに、Dean Moriartyの人物像にはCassadyだけではなく、実際は作者Kerouacの性格も入ってるような気がした。Moriartyに激しい性格を吸い取られてしまったKerouacの、残りの部分であるSalがおとなしく見えるは当然だろう。

Moriarty/Cassadyもそうなんだが、Kerouacもそれに負けず劣らずカッコつけだ。文体にしても、fashionにしてもそれが伺える。

やはり偉大なるカッコつけである、佐野元春あたりがKerouacを持ち上げるのもよく理解できる。

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しかしこの『ON THE ROAD』は、とにかくスイスイ読める。物語も淀みなく進んでいくし、一箇所に滞在中も休みなく動き回っている。若者の文学なのは間違いない。

Kerouacは、この小説を「三週間で書いた」と言っていたらしいが、思わず納得してしまうほど、小説にはスピード感がある。

しかし、実際は何年もかけて何度も書き直していたことが明らかになっているし、やっぱりKerouacはハッタリの人なのだ。

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他にもAllen GinsbergはCarlo Marxとして、そしてBurroughsはOld Bull Leeとして登場する。

Leeは第2部、Moriarty+SalがNew OrleansのLeeの家に数日滞在する場面に登場するだけだが、毎日heroineを打ってるし、coolでシニカルだし、子供へも愛情薄いし、会話の端々に小話(Routine)が挟まるし、まさにBurroughsそのままだ(笑)。

おもしろいのは、猫好きであることを明言していること。THE CAT INSIDEを書いたように、Burroughsは晩年すっかり猫派になるのだが、実は若い時から猫派だったのだ。

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必ずしも自分の好みではないのだが、ストレスなく楽しく読むことができた小説だ。1970年以降の「ダラダラ若者文化」が大好きな自分にとって、水が染み込むようによく理解できるのだ。

この「ダラダラ若者文化」は、薄まりながら、形を変えながら、今も続いているのだが、その1960年代的展開であるHippie文化の隆盛を横目で見つつ、Kerouacはアル中で死んでしまった。

片や、そこからは距離を置いて、孤高の存在となっていたBurroughsは、junkyのくせに83歳まで長生きした。これは一体なんだろうなあ・・・。

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(追記)@2019/04/12

ちなみにHippieとは、「Hipsterきどりの小僧」という意味だ。Hippie文化を生んだのがBeat Generationであることは、これからも明らか。

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(追記)@2019/04/12

草稿versionも刊行されている。

・ジャック・ケルアック・著, 青山南・訳 (2010.6) 『スクロール版 オン・ザ・ロード』. 543pp. 河出書房新社, 東京.


(from Amazon.co.jp)

← 英語原版 : Jack Kerouac, Howard Cunnell (ed) (2007) ON THE ROAD : THE ORIGINAL SCROLL. 408pp. Viking, NYC.

登場人物を実名に戻し、削除箇所を回復。そして章分けはもとより、段落もなくしたversionだ。ダラ書きKerouacの真骨頂。

自分は・・・もういいな・・・。高いし、そこまでKerouacマニアではないのだ、実は。