2017年6月12日月曜日

Joe HendersonのBlue Noteワンホーン作品4作 (2) Joe Henderson/INNER URGE

Joe Henderson/INNER URGE [Blue Note] rec.1964, re-issue 1989


Cover Design : Reid Miles

1964/11/30, Englewood Cliffs, NJ
JH (ts), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Elvin Jones (ds)

01. Inner Urge
02. Isotope
03. El Barrio
04. You Know I Care
05. Night and Day

PAGE ONE(rec.1963)、OUR THING(rec.1963)、IN'N OUT(rec.1964)に続くリーダー4作目。

この作品がはじめてのワンホーン・リーダー作。

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McCoy、ElvinとColtraneのリズム・セクションを揃えてのワンホーン。Coltraneを意識しないわけにはいくまい。

Inner Urgeのドスの効いた迫力はスゴイ。鬱屈した自身の心を昇華させた曲だそうな。ジョーヘンには「屈折」がよく似合う。

16小節の1発ものと転調した8小節の繰り返しがスリリング。自由度は高いが単調になりがちなmode曲に一工夫加えている。Mode曲の限界に早い時期から気づいていた人なんだなあ。

Bob Cranshawのbassもよく録れている(いい音だなあ)。

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IsotopeはMonk風のBlues。Andrew HillのBlack Fireに触発されたんじゃないかと思う。

この曲あたりを聴いていると、ジョーヘンの音には、普通に吹いていても倍音がかなり入っているのがよくわかる。ジョーヘンの黒さの秘密だ。

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Spanish modeのEl Barioでは、冒頭でジョーヘンお得意の、汽笛のようなハーモニクスを披露。サックスが木管楽器であることにあらためて気づかせてくれるのが、ジョーヘンの音だ。

ジョーヘンらしいテクニックが、縦横に披露できた自由度の高い曲。McCoy、Cranshaw、Elvinのサポートも完璧で、このアルバムの白眉。

ColtraneはOlé以降Spanish modeには手を出さなかったが、ジョーヘン他、Spanish modeを使うミュージシャンが増えた。Coltraneの重要な功績の一つだ。ジョーヘンはその後、要所要所でSpanish modeの名演を残していくことになる。

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You Know I Careはストレートなバラード。Duke Pearsonの曲。

Blue Noteでは、Ike QuebecやDuke PearsonといったBlue Note裏方の曲を取り上げることが多いが、そういう贔屓目を抜きにしても、この曲はいい曲だ。

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Night and Dayは、ColtraneのThe Night Has A Thousand Eyes(1964年発表のCOLTRANE SOUND収録)の影響を受けた演奏と言われている。めまぐるしくcode changeがある、いわゆるColtrane Changeの構造に作り変えている。

というより、Coltrane Changeのアイディア自体が、Cole PorterのNight and Dayをヒントにしていると言われているので、フィードバックといえようか。

ウネウネしたジョーヘンのフレーズがよく生かされた名演になっている。

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それにしてもこのアルバムは1曲たりともスキがない。まさしくジョーヘンの代表作だ。

この辺で自分のバンドを持ってもよかったと思うのだが、地味な人なので、あまり派手な動きはなかった。相変わらずDorhamと共にBlue Noteのセッションに勤しみ、そしてHorace Silver Quintetのメンバーとして活動していたのだが、残念なことに当時のSilver 5の録音はTHE CAPE VERDEAN BLUES [Blue Note] rec.1965くらいしかない。今後の発掘に期待しよう。

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