2018年2月27日火曜日

真下弘孝+大西祥平 「STEELY DAN FREE TALK」

Donald Fagenが出てきたところで、ちょうどいいので、

2017年8月18日金曜日 レコード・コレクターズ2017年9月号 特集 ドナルド・フェイゲン
2017年9月2日土曜日 THE DIG SPECIAL EDITION 「STEELY DAN」

よりも、はるか前に出ていたSteely Dan本を紹介。

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といっても、メイン・テーマはFusion~AORだが、その中でも一番力を入れているのがSteely Dan。

・真下弘孝+大西祥平+信田照之 (2001.4) 『FUSION AOR DISC GUIDE』. 237pp. 夏目書房, 東京.


ブックデザイン : 武田留美子+須田隆弘

シンコーミュージックから現在大量に出ているディスクガイド・シリーズの原型のような本だ。

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真下弘孝(1967-)という人は、この本ではじめて知った。編集者/ライター/イラストレーターということだが、これ以上よく知らない。『ドーナツの穴 食べもののかたちの秘密!?』、『不思議なかたち 食べもの編』という著書がある。

大西祥平(1971-)の方は、マンガ関係で前から知ってた。『マンガ地獄変』シリーズでよく見る名前だったが、音楽分野でもこんなマニアだったとは・・・。

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実はこの本、以前図書館で読んで知っていたんだが、売り物としてはなかなか見かけず、所有するに至らなかった。

しかし今回紹介するSteely Dan Free Talkの部分だけはコピーで持っていて、長年楽しんでいたのだった。

もっとも、それがどの本に収録されていたのか、書名を忘れていたせいもあって、たどり着くのに時間がかかってしまったが(笑)。

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本書は、全16章に分けて、AOR/Fusionの音盤を楽器別、テーマ別に紹介した本。

その中の1章がSteely Dan。

・真下弘孝+大西祥平 (2001.4) 13 STEELY DAN FREE TALK. 『FUSION AOR DISC GUIDE』所収. pp.121-168. 夏目書房, 東京.

真下、大西の二人が対談形式で、Steely Danのアルバム及びFagen、Beckerの単独アルバムを曲ごとにreviewしたもの

他の章は10ページ位のものなのに、この章だけ47ページも尺を取っている。まさに、これのために本を作ったようなものだ。

当然中身も熱い。Steely Danファンの文章として一級品だ。

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このトークの特徴は、初期のロックバンド時代にはほとんど触れず、THE ROYAL SCAM(幻想の摩天楼)(1976)以降の、Studio Work時代だけを取り上げている点。AORという視点ならそうなるでしょうね。

Reviewしている音盤は以下の通り。

121-121 13 STEELY DAN(中扉)
122-123 スタジオ・ミュージシャンを使いこなした都会の音楽集団
124-127 Steely Dan/THE ROYAL SCAM (1976)
128-132 Steely Dan/AJA (1977)
133-136 Steely Dan/GAUCHO (1980)
137-140 Donald Fagen/THE NIGHTFLY (1982)
141-144 Donald Fagen/KAMAKIRIAD (1993)
145-149 Walter Becker/11 TRACKS OF WHACK (1994)
150-153 Steely Dan/ALIVE IN AMERICA (1995)
154-158 Steely Dan/TWO AGAINST NATURE (2000)
159-167 アルバム未収録曲 その他
----------- 01 Steely Dan/Here at the Western World (1976)
----------- 02 Steely Dan/FM (1978)
----------- 03 Steely Dan/Second Arrangement (1980)
----------- 04 Donald Fagen/True Companion (1981)
----------- 05 David Sanborn/The Finer Things (1982)
----------- 06 Donald Fagen+Steve Kahn/Reflections (1984)
----------- 07 Donald Fagen/Big Noise,New York (1985)
----------- 08 Donald Fagen/Century's End (1988)
----------- 09 Donald Fagen/Shanghai Confidential (1988)
----------- THE NEW YORK ROCK AND SOUL REVUE(1991)
----------- 10 Donald Fagen/Confide in Me (1993)
----------- 11 Steely Dan/Fall of 92 (1993)
----------- 12 Steely Dan/Wet Side Story (1996)

この他、囲みコラムで

131-131 Woody Herman/CHICK, DONALD, WALTER & WOODROW (1978) → Woody HermanがChick CoreaやSteely Danなどの曲を取り上げた意欲作
168-168 ME, MYSELF & IRENE (2000) → 映画音楽であり、Steely Danカバー集

にも触れている。

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同書, pp.144-145

Steely Dan、Fagenだけじゃなくて、Walter Beckerのアルバムもちゃんと取り上げているのがエライですよね。

最初に上げた雑誌特集もいいけど、こういう気取らない雑談風での、ファンが好き勝手語る形式も楽しい。何よりも熱気を感じるのがいい。

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出版が2001年なので、当時の最新作TWO AGAINST NATUREまでだが、その後の

Steely Dan/EVERYTHING MUST GO (2003)、
MARIAN McPARTLAND'S PIANO JAZZ WITH GUEST STEELY DAN (2005)
Donald Fagen/MORPH THE CAT (2006)
Walter Becker/CIRCUS MONEY (2008)
Donald Fagen/SUNKEN CONDOS (2012)

もフォローしての増補版を読んでみたいなあ。

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せっかく盛り上がったSteely Danブームは、Becker死去とFagen来日中止で表面的には雲散霧消してしまったわけだが、評伝

・ブライアン・スウィート・著, 奥田祐士・訳 (2017.11) 『スティーリー・ダン・ストーリー リーリン・イン・ジ・イヤーズ 完全版』. 456pp. DU Books, 東京.

も出たことだし(実はまだ買ってない)、実はブームはマニアックなファンの間に潜行しているのだ。

Steely Danブーム再び!そして、Donald Fagen来日come on!

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(追記)@2018/02/27

ちなみに、上記記事でも、前回のA New Standard by Which to Measure Infamyは取り上げられておりません。誰も知らないFagenの作品の一つ。

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