2017年10月25日水曜日

ロビン・ケリー 『セロニアス・モンク 独創のジャズ物語』 ひろい読み3 - Frankie Dunlop

・ロビン・ケリー・著, 小田中裕次・訳 (2017.10) 『セロニアス・モンク 独創のジャズ物語』. 673+30pp. シンコーミュージック・エンタテイメント, 東京.
← 英文原版 : Robin D.G. Kelley (2009) THELONIOUS MONK : THE LIFE AND TIMES OF AN AMERICAN ORIGINAL. xviii+588pp.+pls. Free Press, New York.


装丁 : 石川絢士(the GARDEN)

のひろい読み第3弾。今回はFrankie Dunlop特集。

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2017年2月8日水曜日 Thelonious Monk at the Five Spot大全(4) Five Spot 1957 with Coltrane

の(追記)でも書いたように、Frankie Dunlopは1957年に数日間だけMonk 4に加わりFive Spotに出演している。これがMonkとの初共演。

上掲書によれば、MonkはDunlopをえらい気に入っていたのだが、cabaret cardの不備によりやめざるを得なくなり、それでShadow Wilsonに交代したという。

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1957年以降のMonk 4のdrummerは、概ねShadow Wilson → Roy Haynes → Art Taylorと移り変わったが、Art Taylorが1960年はじめに脱退すると、その後半年くらいdrummer探しに苦労することになる。

1960年11月、Jazz Gallery, NYCでのliveからFrankie Dunlopが再登場。その後3年ほど、Monk 4ははじめて安定したメンバーとなり、Columbiaと契約し全盛期の名作を残すことになる。

私はFrankie Dunlop時代のMonk 4が一番好きだ。特にMonkの特異な演奏によく反応できる、当意即妙のDunlopのdrummingが、この時代のMonk 4に多大な活力を与えている。

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Dunlopは、1963年12月のPhilharmonic HallでのBig Band公演(Thelonious Monk/BIG BAND AND QUARTET IN CONCERT [Columbia] rec.1963)に参加し、1964年1月のFive Spotに参加した後、突如退団した。丸3年在籍し、さすがにDunlopも飽き飽きしていたらしい。そしてBen Riley登場。

しかし、その後Dunlopがどういう活動をしたのかわからず、不思議に思っていた。これだけの実力者にオファーがないはずがない。なぜ?

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で、上掲書でその謎が解けた。

DunlopがMonk 4を脱退したのは、なんと「俳優」になるためだった、というのだ!俳優といっても、パントマイムや物まねをステージで披露する、というもので、「boardbillian」といったところだろうか。どうもDunlopにはその才能があったらしいのだ。

その世界でDunlopが成功したのかどうかは、わからない。時おりJazzの仕事もしていたようで、Sonny Rollins/ALFIE [Impulse] rec.1966にその名前が見える。

・Wikipedia (English) > Frankie Dunlop (This page was last edited on 10 October 2017, at 03:19)
https://en.wikipedia.org/wiki/Frankie_Dunlop

によれば、1970年代には、Lionel HamptonやEarl Hinesと共演しているらしいが、よく知らない。

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毎度おなじみの

Hal Willner/THAT'S THE WAY I FEEL NOW : A TRIBUTE TO THELONIOUS MONK [A&M(キャニオン)] pub. 1984


Design : M&Co. New York

にも、あまり目立たないが当然参加している。

ca. 1984, NYC
Terry Adams and Friends
Roswell Rudd (tb), Pat Patrick (as), Terry Adams (p), John Ore (b), Frankie Dunlop (ds)

C5. In Walked Bud

Terry Adamsはこの盤にもう一回登場しているNRBQ(New Rhythm and Blues Quartet/Quintet)のリーダー。

Dunlopと同時期にMonk 4に参加していた、John Oreの登場もうれしい。

Sun Ra Arkestraの重鎮Pat Patrickの参加が奇異に思えるかもしれないが、実は1970年にCharlie Rouseがやめた後、半年ほどPat PatrickがMonk 4のメンバーだったのだ。

John OreもSun Ra Arkestraのメンバーだったし、意外なところでMonkとSun Raはつながるのだ。

Pat PatrickとBeaver Harrisが加わっていた時代のMonk 4は、録音が知られていないが、ちょっと聴いてみたい。MonkはBeaver Harrisのdrummingを嫌って、すぐにクビにしてしまったらしいが。

Frankie Dunlopはこの録音を残し引退してしまったらしい。亡くなったのは2014年とごく最近だ。

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上掲書でも、Frankie Dunlopに取材した形跡があるが、この本には謝辞のページがないので、その実態はよくわからない(もしかすると原著には長々と謝辞があったんではないかと思う)。

まあしかし、これまで全然わからなかった、Monk 4以降のDunlopについて、一応納得できる情報が得られたので、すっきりした。

このようにこの本は、Monk周辺の人についても、情報の宝庫なのである。是非手元において、Monkについていろいろ考えてほしい。

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