2019年5月1日水曜日

Paul Desmond – Jim Hall Quartet大全 (1) Dave Brubeck/TIME OUTとTake Five

えー、コンピュータの不具合により、書きためていた約40回分が消えてしまったので、Kerouac & The Beat Generationシリーズ/Burroughs with Musicシリーズはしばらくお休みです。

復旧(なんのことはない、調べ直し、書き直しするだけなのだが)まで他のネタで。

Burroughsばっかりやっていた1年半ほどの間に、ネタはいくらでもある。あとは書く気になるだけ。

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まずはPaul Desmond。

こんなのを手に入れた。

PAUL DESMOND - JIM HALL QUARTET COMPLETE RECORDINGS [Jazz Collectors] rec.1959-65, release 2007



CD4枚組で、1959~66年にLP 6枚分を残したJim Hallとのcollaborationをまとめたもの。

実は類似企画が他にいくつもあるのだが、それらの差異については後ほど。

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いきなりでなんだが、これbootlegです。原盤creditやproducer、engineerなどのデータが一切ない。

版元はJazz Collectorsという怪しげなlabel。所在地もEUとしかわからない。

Discogsで調べたら、2007~08年に12作品ほどをreleaseしている。Johnny Coles/THE WARM SOUNDS [Epic] をパクってrelease。また、Mingusの1964年Liveを2種、これもよそからパクってreleaseしている。

わずか2年で活動を終えており、まさにguerilla的な活動だ。典型的なEurope bootleg labelの形態。

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このPaul Desmond 4枚組CDは活動第1弾として2007年にrelease。

これもあちこちのcompilationをパクっているようなのだが、痒いところに手が届くような編集をしており、丸ごとコピーではない。独自色を出しており、なかなかおもしろい。だから買ったわけなのだが。

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まずはPaul Desmondの経歴から。

Paul Desmond(1924-77)は、San Francisco出身。生まれはユダヤ家系であり、本名はPaul Emil Breitenfeld。

1949年以来Dave Brubeck (p) 4のmemberとして活動。1950年代には全米各地の大学でconcertを開き、「Jazz at College」というmovementの祖となった。

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そしてやって来た1959年。

The Dave Brubeck Quartet/TIME OUT [Columbia] rec.1959, release 1959, Teo Macero (prod)


Cover Painting : Sheil Fujita

これが爆発的ヒット。

全6曲中5曲はBrubeck作なのだが、一番人気を得たのはDesmond作曲のTake Fiveであった。

TIME OUT発表当時はそれほど話題にはならなかったようだが、Take Fiveがsingle-cutされ、TVや映画で使われるとじわじわ人気上昇。そして1961年にはBillboard Hot 100の25位にまで到達。Jazz曲としては大ヒットと呼んでいいだろう。

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Take Fiveは、その名の通り5/4拍子という変拍子の曲。

1950年代後半、Max Roachなどがwaltzを刻みJazzをやる、という実験をやっていたが、この曲はそれをさらに推し進めたもの。

Melodyも一風変わっていて、これはBluesに根ざしたJazz Feelingとは別物である。Arabic~Spanish Scaleと似た感じ。そう、これはおそらくユダヤ旋律なのだ。

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前述のとおり、Desmondはユダヤ系米国人。Bohemia/AustriaのAshkenaziの系統だ。

父親はpianistで、映画音楽などの仕事に従事していたという。Desmond自身は長らくユダヤ出自に気付かなかった、というから、おそらく周囲には知らず知らずにユダヤ音楽があったのだろう、と推測する。

また、Dave Brubeckもユダヤ系米国人。ユダヤ旋律の仕入先は、もしかするとそっちなのかもしれない。

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ユダヤ旋律はどんなものかというと、Folk Danceで有名な「Myim Myim」、Israel民踊として知られる「Hava Nagila」などを思い浮かべるといいだろう。日本ではユダヤ歌曲としては認識されていない「Dana Dona」もそうだ。

Arabic旋律とユダヤ旋律はよく似ているので、Duke Ellingtonの「Caravan」も参考になるだろう。

また、最近は日本でもよく聴かれるようになったKlezmerやJohn ZornのMasadaあたりも、ユダヤ旋律を知るにはいいsamplesだ。

ユダヤ系Musicians/Composersとユダヤ旋律の話を始めると、それこそ底なし沼にはまるので、ここは先に進もう。

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TIME OUTが録音されたのは、1959/06/25、07/01、08/18。その翌月1959/09/05-07には、Paul Desmondの2nd leader albumであるFIRST PLACE AGAIN! の録音が始まる。

TIME OUTのヒットがWarner Brothersの目に止まってのDesmond単独契約なのかと思っていたが、実はTIME OUTのずっと前からWarnerはDesmondに目をつけていたようだ。

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Brubeck 4を離れて、Desmondがpartnerに選んだのは、guitarist Jim Hall(1930-2013)。

往々にして、強力なpianistの下で活動して来たmusicianは、自分のleader作ではpiano-lessにすることが多いものだが、Desmondの場合は、Brubeck 4との差異を出すために意識的にpiano-lessにしたらしい。

ここから1959~1966年の足かけ8年、LP6枚に渡るJim Hallとのcollaborationが始まる。

ツヅク

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参考 :
・Discogs > Paul Desmond (as of 2019/05/01)
https://www.discogs.com/artist/170329-Paul-Desmond
・Wikipedia (English) > Paul Desmond (This page was last edited on 17 April 2019, at 19:05 (UTC))
https://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Desmond
・Jazz Discography Project/JAZZDISCO.org > Paul Desmond > Discography (as of 2019/05/01)
https://www.jazzdisco.org/paul-desmond/discography/
・渕野繁雄/Shigeo Fuchino (Saxophonist) Web Site > Sax Player > Paul Desmond (written in 2013/uploaded on 2016.2.11)
http://home.att.ne.jp/gold/moon/sax/paul-desmond.html
・Wikipesia (English) > Take Five (This page was last edited on 9 April 2019, at 23:54 (UTC))
https://en.wikipedia.org/wiki/Take_Five

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