Material/SEVEN SOULS [Virgin] pub.1989
Art Works : Shinro Ohtake(大竹伸朗)
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前回紹介した『バロウズ・ブック』に、大竹氏のインタビューがあります。SEVEN SOULSデザイン時の話もある。
・大竹伸朗 (1990.9) こんなジジイ、他にいないよね. 現代詩手帖, vol.33, no.9(特集 '90年代バロウズ 異次元からの視座), pp.85-87.
→ 再録 : (1992.8) 思潮社・編 『バロウズ・ブック』(現代詩手帖特集版)所収. pp.87-89. 思潮社, 東京.
本作のproducer、bassistのBill Laswell(1955-)は、もう説明の必要はないかもしれないが、USAのbassist、というより、敏腕producerと言った方がわかりやすいだろう。
1979年に、Michael Beinhorn (kb), Fred Maher (ds)とMaterialを結成。かつてFranceでBYGレーベルを運営していたJean KarakosとCelluloidレーベルを設立。
3人のcore memberに加え、free jazz系のmusiciansを多数guestsに迎えた
Material/MEMORY SERVICE [Celluloid] pub.1981
がヒット。これはElektraの新興sub labelであったElektra/Musicianにも買われて発売されている。私がはじめてLaswellを知ったのはこれ。
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そして、何と言ってもproduceとbassistで参加した
Herbie Hancock/FUTURE SHOCK [Columbia] pub.1983
が大ヒット。
以後はもうproduce依頼が引きも切らず、一躍売れっ子producerとなってしまった。
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しかし元がアングラ人間だけに、free jazz系、free improvisation系の作品も多い。他にもHip Hopだのambient系だの、インド系だの、異種格闘技ものだの、その多様な音楽性にはめまいがするほど。単に「節操ないだけ」という批判もあるが。
ハズレも多いが、数も多いだけに、中にはトンデモない作品がうじゃうじゃある。私が好きなLaswell produce/参加作は、いっぱいあるぞ(多いので、追記に入れた)。
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意外な人間をporjectごとに引っ張り出してきて、異種格闘技させるのが得意技(ハズレもある)。それは、MEMORY SERVICEで、引退状態だったSonny Sharrock (g)を第一線に引っ張り出してきたあたりから、もう始まっている。
このMaterial/SEVEN SOULSでは、何と言っても作家William S. Burroughsを引っ張り出してきたのがスゴイ。びっくりした。そしてこれがまたすごい作品だったのだから。
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なお、Materialは、ONE DOWN [Celluloid] pub.1982ではFred Maherが抜け、Laswell+Beinhorn+Martin Bisi (sound)のprojectになっていたが、その後はBeinhornも抜けて、Laswellが自分の音楽をやる時に、子飼いのメンバーを集めるprojectとなった。
おおむね、Jeff Bova (kb)、Nicky Skopelitis (g)、Hamid Drake (ds)、Fody Musa Suso (kola, vo)、Aiyb Dieng (perc) あたりがレギュラーに近いメンバー。これにBernie Worrell (kb)、Fred Frith (g, vln)、Shankar (vln)、Bootsy Collins (b,vo)、Sly Dunbar (ds)なんかもちょくちょく加わる。
実際は、子飼いのメンバーに、さらに豪華ゲストが大量に加わり、何がなんだか分からない不定形生物と化すのがMaterialだ。
ちなみに、東京JAZZ 2005で来日した時のメンバーは、Abegasu Shiota (kb), Bill Laswell (b), Hamid Drake (ds), Fody Musa Suso (kora, vo), Aiyb Dieng (perc)+ゲストNils Petter Molvaer (tp) というものだった。かなり地味な演奏だったなあ。
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BassistとしてのLaswellというのは、あまり注目されることはないが、それも当然、すごく地味なbassを弾く人だ。
初期は結構跳ねるbassを弾いていたのだが、ある時期から地を這うようなstyleに変わった。1980年代なかばに交流し始めたRobbie Shakespearの影響ではないか?と思うが、定かでない。
Front musiciansを支える底力はさすがだと思うが、「メリハリがないBass」と嫌う人も多い。
Bassだけではなく、DXMやFairlightをいじって、drum programmingや効果音を挟んでくるのも特徴。さらに、post productionで音を大量に被せてくるのも得意。
Front musiciansの強力な演奏でも、Laswellのpost productionによって、つかみ所のないAmbient Musicになっていることもあり、その音楽性に対しては好き嫌い出るでしょうね。
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ProducerとしてのLaswellにも、好悪が分かれる。ハズレも多いと思うが、そこは数でカバー。とにかく変な作品が多いので、無視できない存在、という評価が一般的だろうか。
私としては、これだけ売れっ子になっても、古くからのfree jazz/free improvisationの仲間たちを大事にしているところに好感を持っている。
多岐にわたるmusiciansと付き合っていながら、トラブルの噂をほとんど聞かないのはスゴイ。仕事と金についてはきっちりしているらしいので、人望はあるようだ。
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Bill Laswell、Kip Hanrahan、Hal Willnerは、私にとっての1980年代三大producersだ。いろんなジャンルのmusiciansを大量に集めてきて、分類不能・不定形の音楽を作り続けているところなど、手法がよく似ている。Free jazz/free improvisationのmusiciansとつき合いが深いのも同じ。
しかし、この三人、同族嫌悪のところがあり、どうも互いに仲が悪いらしい(笑)。初期には、Hanrahanの作品にLaswellが参加していたこともあったが・・・。
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Burroughs話なのに、Bill Laswellで1回終わってしまったぞ(笑)。まあLaswell話は一度しておかなきゃならなかったので、ちょうどいい機会だ。
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(追記)@2017/12/05
Bill Laswellもののお薦め集
Material/MEMORY SERVICE [Celluloid→Elektra/Musicain] pub.1981
Massacre/KILLING TIME [Celluloid] pub.1981
Bill Laswell/BASELINES [Celluloid/OAO→Elektra/Musician] pub.1983
THE GOLDEN PALOMINOS [Celluloid] pub.1983
Daniel Ponce/NEW YORK IS NOW ! [Celluloid/OAO] pub.1983
Herbie Hancock/SOUND SYSTEM [Columbia] pub.1984
Public Image Ltd/ALBUM [Virgin] pub.1986
LAST EXIT [Enemy] pub.1986
Peter Brötzmann+Bill Laswell/LOW LIFE [Celluloid] rec.1987
坂田明/MOOKO [NECアベニュー] pub.1988
Material/SEVEN SOULS [Virgin] pub.1989
Maceo Parker/FOR ALL THE KING'S MEN [Island/B'Way] pub.1990
Painkiller/GUTS OF A VIRGIN [Earache] pub.1991
Arcana/THE LAST WAVE [DIW] pub.1995
Pharoah Sanders/MESSAGE FROM HOME [Verve] pub.1996
Arcana/ARC OF THE TESTIMONY [Island/Axiom] pub.1997
Miles Davis/PANTHALASSA : THE MUSIC OF MILES DAVIS 1969-1974 [Sony] pub.1998
Tabla Beat Science/TALA MATRIX [Island/Axiom] pub.2000
Herbie Hancock/FUTURE 2 FUTURE [Mercury] pub.2001
Tabla Beat Science/LIVE IN SAN FRANCISCO AT STERN GROVE [Island/Axiom] pub.2002
Anthony Braxton+Milford Graves+William Parker/BEYOND QUANTUM [Tzadik] pub.2008
こんなとこかな。
手持ちの中から挙げてもこんなにある。持っていないヤツでもいいのはあると思うが、追い切れないので、あとは知らん。
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(追記)@2017/12/07
これがBill Laswell。
Material/LIVE FROM SOUNDSCAPE [DIW] rec.1981, pub.1994
昔からこんなヒゲダルマだが、クマ系ではない(笑)。この写真はおそらく1980年代後半だと思う。
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