2022年4月3日日曜日

Earl Bostic/COMPLETE QUINTET RECORDINGS - Bostic 1963西海岸遠征の記録

★Twitter 2021/01/16-17より転載+加筆修正★

Earl Bostic+Richard "Groove" Holmes+Joe Pass / COMPLETE QUINTET RECORDINGS [King→Lonehill <EU>] rec.1963, rel.2015

元盤はLP2枚分、2in1である。Bostic、Holmes、Pass とは珍しい組み合わせだが、Bostic が1963年に西海岸単独遠征中、Pacific Records 勢と組んでいたのだろう。その間に2回の sessions で2枚のアルバムを作っている。

Earl Bostic / JAZZ I FEEL IT [King] rec./rel.1963
( なお、ViViD SOUND はレーベル名ではない )

Earl Bostic / A NEW SOUND [King] rec.1963, rel.1964

録音は西海岸だが、Bostic の home ground である King Records から出た。

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Bostic は1950年代には R&B で飛ぶ鳥を落とす勢い。King Records のドル箱スターだった。さすがに60年代に入ると R&R に押され人気は下火。大編成 Band も維持できなくなった。しかしその分、こういった Jazz Session を持てる余裕が出てきた。

これまで1曲3分のシングル盤ベースで活動してきた Bostic だが、ここでは長尺 ( といっても4~6分だが ) の Jazz Format で吹きまくっている。Soul Jazz 探索の盲点になっている音盤である。King、Bostic ときたら Jazz とは誰も思わんのだよなあ。

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Bostic はこの録音の2年後52歳で亡くなるのだが、死因は心臓麻痺。まだ若くもあり、衰えは全く感じない。この頃は単に時代と合わなくなってきていただけ。Alto Sax の鳴りは相変わらずものすごい。Hodges - Parker - Dolphy と並ぶ Big Tone Alto の一人。 コブシも回る回る。As 随一の honker。

Earl Bostic - Telstar Drive

しかしこういう長尺 Jazz Tune になると、彼の sax スタイルの古さが目立つようになる。Bostic の sax は Be-Bop 以前のスタイル。ずっと唸っているのでわからないかもしれないが、Benny Carter 流を受け継ぐ流暢な sax。Adlib ではもう全く淀みなく魅力的な melody を次々と繰り出す。達人だ。

Fast Track

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主戦場が R&B なので Jazz fan からの評価は低いままだが、Sax 史上の重要人物でもある。これは Jazz の外に置かれている Peter Brötzmann や Evan Parker と同様に重要。

当時は、こういった Jazz 作品と並行して、Pops 曲集や Bossa Nova 集 ( 全然 Bossa Nova じゃなく Latin Jazz だったが ) なんかも出しており、ちょっと迷走気味の時代であった。しかしこういう Jazz にガップリ四つで取り組んだ作品も残してくれたのはありがたい。

One chord に乗っかって縦横無尽に吹きまくる曲もある。これ聴くと、少し勉強すれば Mode Jazz や Fusion にも対応できそうだった気もする。若手で優秀な番頭さんがつけば可能だったろう。残念ながらそういう状況を作る前に亡くなってしまったが・・・。

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脇を固める Richard "Groove" Holmes は、1960年代 organ の中でもわりとあっさり系。そこはやはり西海岸だ。Joe Pass も solo もあり好調だ。

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R&B 時代の Earl Bostic も聴いてほしいが、それこそ大量にあるし、基本シングル盤の人なので、2枚組の compilation ひとつあれば充分だろう。Compilation も大量にあるが、一例としてこれとかお薦め。CD-R だが。Lionel Hampton 時代から大ヒット曲 Flamingo まで、丁寧な作り。

THE EARL BOSTIC COLLECTION 1939-59 [Acrobat Music <UK>] rec.1939-59, rel.2015

大ヒット曲 Flamingo も上げておこう。

Earl Bostic – Flamingo

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