2022年3月21日月曜日

Arthur Blythe の Columbia 半端仕事集 (4) ONE NIGHT STAND – Roland Hanna との超絶 duo

★Twitter 2020/12/02より転載+加筆修正★

ONE NIGHT STAND : A KEYBOARD EVENT [Columbia] rec./rel.1981

いろんなところに引っ張り出される Arthur Blythe。Columbia Records 主催の一大イベントにも駆り出された。 しかしここで Blythe は畢生の名演を繰り広げるのであった。

------------------------------------------------------------

このイベント/音盤は keyboards ( piano、organ、synthesizer など) に焦点を当ててて、Columbia 所属 musicians を中心に多数の pianists が登場。それは Eubie Blake からGeorge Duke、Bob James、Ramsey Lewis、Rodney Franklin などなど。その Live 盤だ。

イベント/音盤の全体については後述するとして、ここでは Blythe の話を先にしよう。Arthur Blythe は 1曲 Sir Roland Hanna との duo で登場。Hanna は Columbia 専属ではないのだが、このイベントでは3度登場し、重要な役目を担っている。

------------------------------------------------------------

C3. Sir Roland Hanna+Arthur Blythe / A Common Cause

二人の共作による13分の大作。曲に blues 色はなく、format はほぼ classic に近い。どちらかというと Hanna が主導。発端を Hanna が作り、Blythe が展開させる。Blythe 主導で展開中は Hanna がそれについていくような感じ。

Hanna の intro に続いて Blythe によるテーマ演奏。静寂を切り裂く Blythe の澄んだ alto sax は本当に美しい。倍音を出していないわけではないのだが、音圧があまりに強いため、それはあまり気づかず「澄んだ音」と認識してしまう。Cannonball とも似ているけど、でも違う。

3 chorus ( くらいかな、わかりにくいのだ ) を Blythe が solo を取った後、Hanna が tempo-up させる。この辺はどの程度打ち合わせ済みで、どの程度現場での即興なのかわからない。名人芸の世界だ。Blythe のテクも音も存分に楽しめるパート。

Tempo-down して Hanna の solo に移るが、この solo も素晴らしい。Hanna のピアノテクは Powell 流よりは少し古いスタイルであることがわかる。大熱演。そこにまた Blythe が切り込んでいき、ending へと向かう。この展開がまた素晴らしい。この展開まで即興なら本当にすごい。

Blythe の超高音 long-tone で ending。曲が終わる前から客席から拍手が沸き起こり、終わった瞬間は当然 standing ovation。

曲の構造や chord change はそんなに複雑ではないが、duo ならではの自在の tempo で演奏。互いに相手を理解して反応している。これはやっぱり Jazzだ。

綿密に rehearsal をしたと思われ、息もぴったりで急造 duo とは思えない。しかしこの二人の共演は後にも先にも実にこれだけなのだ。もったいない。Duo album 一枚くらいはゆうに作れる combination だと思う。いや、作ってほしかった。

------------------------------------------------------------

このアルバムは LP 2枚組で出ているが CD 化されていない。他の演奏も素晴らしいのが多いだけに、なんとももったいない。Major Label では珍しくないが。LP も中古市場ではあまり見かけない。

しかし、幸いなことにこの concert、YouTube に映像が上がっている。

"One Night Stand" A Keyboard Event (Carnegie Hall - 1981-01-20)  

------------------------------------------------------------

Blythe - Hanna Duo は57分あたりに登場。この Carnegie Hall Concert はCBS TV で放映され、全編 Laser Disc にもなっている ( 日本盤LDはない )。


CM がないところを見ると、この動画は TV 放映録画ではなく、LD から video tape に落としたのかな?映像に noise が多く、音もだいぶヨレている。しかし十分楽しめるレベル。

------------------------------------------------------------

Blythe - Hanna Duo のところだけは何十回聴いても楽しめる。本当に奥深い duo だ。Jazz 界の至宝。これが全く知られないまま埋もれているなんて、損失以外の何物でない。是非 CD 化を。

Blythe の雑多な Columbia お仕事ものは、前に紹介した Paquito-Woods Jam、Christmas Album、McCoy Band と、かなりあり、これを集めて1枚にできる分量だ。BGO がまとめてくれた Blythe Columbia Years 2枚組×3作にそれも入れてほしかったなあ。

------------------------------------------------------------

(追記)
Trimming して、Hanna – Blythe Duo のみ pick-up しました。

Sir Roland Hanna+Arthur Blythe / A Common Cause

0 件のコメント:

コメントを投稿