2022年3月14日月曜日

SOWETO・・・ZULU JIVE・・・Paul Simon/GRACELAND – Mbaqangaの世界デビューの頃 ( 1982-86 )

★Twitter 2020/11/14より転載+加筆修正★

SOWETO [Rough Trade <UK>] rel.1982

1980年代に入り、African Music がどっと世界に出始めた。その筆頭は、故 Bob Marley の後釜を狙って Island が契約した、Nigeria の King Sunny Ade だったが、他にも Africa 各地の音楽が広く知られるようになる。

そんな中、Rough Trade から出た South African Music の compilation がこれ。これ、徳間ジャパンから日本盤も出ていたのだ。

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聴いて腰抜かしましたね。ものすごい乱暴なエネルギーが充満していて、頭クラクラ。

ダミ声の call & response。アンプがぶっ壊れたような音で強烈な beat をかます bass。酔っぱらったような guitar ( Zaire Congo の Soukous に近い )。Guitar 一本で歌う blues そのもののような歌にかぶる女性 chorus。強烈な beat に乗っかる牧歌的な accordion や organ。ガチョウみたいな growl をかます tenor sax。

New Lucky Boys – Jane

Unknown Artist - Queen Shikwambani

どれも経験したことのない音楽ばかりで衝撃だった。2曲ではクレジットが Unknown Artists とあり、なんだよそれ。

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特に、ダミ声 ( まるで浪曲かアメ横店頭 ) で歌う John Motha、ガチョウ sax の Saul Malapane & Mister King Jerroo なんかはあまりに印象が強烈で、その後、何年も聴いていないというのに時々頭の中にフラッシュバックしてくるほどだった。

John Motha - Zulu Boy

Saul Malapane & Mister King Jerroo - Here We Come

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おそらく元は全部1970年代後半くらい?の single 盤。表裏と思われる2曲収録されてる musicians が多いし。

その producer は Wilbur Dlamini というのだが、謎の人だ。ほとんどの曲で、The Bamalangabis という band ( たぶんg1or2+b+perc ) が back を務める。もしかすると、Dlamini はこの band leader なのかもしれない。

この band の bass の腕力はすごい。Flamenco のようにかき鳴らすパターンが多く、Jazz の Alex Blake のよう。名前を知りたいが、クレジット皆無なのであった。

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この盤は、初出LP以来CD化・再発されていない。

おそらく、現地で買ってきた single 盤を勝手に収録しただけで、musicians には無断だと思う。もしかすると、poducer の Dlamini には金は行っているかもしれないが、musicians に金は行ってなさそう。

最近音楽 business もだんだんちゃんとしてきているので、著作権問題にひっかかりそうな作品は表立ってはなかなか再発されない。かたや bootleg や YouTube での無断 upload 花盛りなのは笑ってしまうが。この盤も14曲中13曲が YouTube に upload されている。

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Soweto とは、Johannesburg 郊外の Township と呼ばれる黒人居住地。1976年の暴動以来、当時の Apartheid 政策への抵抗の象徴として、世界的に有名になった。

が、このアルバムにはそういう政治的な主張はゼロ(笑)。単にシンボルとしてタイトルに頂戴してるだけ。テキトー。

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意外なことに、Africa 音楽というと思い浮かべる「打楽器」の影はこの盤では薄い。これは1970年代の South Africa 音楽の特徴かもしれない。この後紹介する ZULU JIVE でも同じだし。

もっと北の方、Zaire Congo の Soukous では ds、perc はだいぶ目立ってくるが、主役は chorus、guitars、horns だ。Afro-Cuban Music の故郷 Nigeria になると、talking drum など perc が主役となってくる。

South Africa でも1980年代になるとだいぶ打楽器が目立つようになるが、なんか借り物の rhythm くさく、土着の打楽器もない。

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SOWETO に含まれる音楽が Mbaqanga ( ムバカンガ ) と呼ばれることを知ったのは、次に紹介する ZULU JIVE で ( 語頭に母音のつかないMやNが来るのを嫌う欧米人向けに表記が Umbaqanga になっているが )。

ZULU JIVE : UMBAQANGA [Earthworks <UK>] rel.1983

World Music の重要レーベル Earthworks 初期の仕事。おそらく、SOWETO に影響受けて出したものと思われる。30分とごく短いLP。

こちらも single 盤をかき集めたような曲が10曲。こちらはCD化・再発されているが、著作権はホントに大丈夫なんかいな。

この盤では、SOWETO のような乱暴な sounds はやや控えめだが、やはり異様なエネルギーに満ちている。

原盤の年代は SOWETO よりあとのような感じ ( 1980年前後? )。徐々に洗練されていくのだ。でもやっぱり SOWETO の衝撃には及ばなかったな。

Aaron Mbambo - Selishonile Llanga

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Mbaqanga は1970年代にはだいぶ下火になっていたらしいのだが、これらの盤によって世界に広まり始め、そして迎えたのが

Paul Simon / GRACELAND [Warner Bros.] rel.1986

このアルバムでは South Africa 音楽を大きく取り入れ、世界的に大ヒット。片や、当時まだ Apartheid 政策を続ける南ア政府を利する、とか、文化搾取だ、などといろいろ議論もあった。

Paul Simon - I Know What I Know (Official Audio)

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しかしここから Ladysmith Black Mambazo らが世界に巣立っていくことになる。

Wawusho Kubani (Who Were You Talking To)

もう一人、Mbaqanga の大物であった Simon "Mahlathini" Nkabinde (vo) も、Mahalathini & the Mahotella Queens として世界的に人気を博することになる。強烈なダミ声 main vocal と女性 chorus の call & response はまさに Mbaqanga の代表だった。

Lilizela Mlilizeli

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南アには1993年に行ったことがあるのだが、その時に買った compilation CD を聴くと、Mbaqanga だけではなく、欧米並みの rock/pops も多く、もうすっかり洗練されていた。現在はもちろん一層洗練されている。Jamaica でも、実は Reggae よりも R&B とか Pops の方が人気がある、みたいな話。

あと、Abdullah Ibrahim ( Dollar Brand ) を筆頭とする南ア Jazz Musicians の音楽にも、当然 Mbaqanga の影響が色濃いのだが、とても一度には語り切れない。あと南ア/Lesotho に行ったときの話も面白いんだけど、これもまた別の機会に。

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