★Twitter 2020/11/13より転載＋加筆修正★
Jackie McLean & The Cosmic Brotherhood / NEW YORK CALLING [SteepleChase <Den>] rec.1974, rel.1975
Jackie McLean (as) が、1972年に復活後、息子 Rene McLean (ts,ss) と若手を集めて放った意欲作。というより、McLean 親子が Billy Gault (p) の band ＝ The Cosmic Brotherhood に客演した形。
Mode Jazz バリバリのとてもスピード感あふれる作品だ。DEMON'S DANCE [Blue Note] (1967) の路線を推し進めた方向性。実は自分は McLean とは相性が悪く、ほとんど持っていないのだが、この辺だけは昔から愛聴盤だ。
New York Calling
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名義は Jackie McLean だが、主役は Rene、Gault、Billy Skinner (tp)、Michael Carvin (ds) ら当時の若手たち。いずれも溌剌とした素晴らしい演奏を繰り広げている。Carvin のタイトな ds も屋台骨をよく支えている。McLean は若手に押され気味だが、若返ってる。
曲は McLean の自作曲はなく、Billy Gault 2曲と Billy Skinner 3曲。Gault の曲は ODE TO SUPER (1973) や A GHETTO LULLUBY (1974) ですでに取り上げており、McLean がいかに彼を気に入っていたかがわかる。
Star Dancer
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Woody Shaw の路線に非常に近く、one chord の上で激しいアドリブを繰り広げる展開が多い。実際 Skinner の tp は Shaw そっくりだ。
しかし、McLean がその後この路線を推し進めることはなく、普通の 4 Beat に戻ってしまう。ちょっと残念だった。
代わりに息子 Rene がこの路線を進め、Woody Shaw と一緒にやっていくことになる。自作デビュー作も力の入った素晴らしいものだった。1970年代らしくけっこう暑苦しいが。
Rene McLean Sextet / WATCH OUT [SteepleChase <Den>] rec./rel.1975
Jihad
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実は、Billy Gault たちは、NEW YORK CALLING の前日に、McLean 親子抜きで自作アルバムを録音している。Bill Saxton (ts) やEllen Deleston (vo、Norman Conners のとこの人) と Joe Lee Wilson (vo) ら vocal 陣を加えたもの。
The Music of Billy Gault / WHEN DESTINY CALLS [SteepleChase <Den>] rec.1974, rel.1975
Mode Jazz から一転、こちらでは vocal を feature して soulful な仕上がり。意外な出来だ。SteepleChase では、こういう作品は他にないと思う。
1曲ある solo piano もなかなかおもしろい。突然 Bossa Nova も出てきたりして、多面的な才能が発揮されている。
近年では、この中の Mode for Trane が compilation に取り上げられて、Club Jazz 方面で再評価されている。Joe Lee Wilson も自作アルバムで持ち歌にしている。これも過小評価の人、Bill Saxton (ts) の演奏もいい。
Billy Gault - Mode for Trane
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ところが、Billy Gault も Billy Skinner もこの後音楽界から消えてしまう。Skinner は1990年代に突如アルバムを出してちょっとだけ復活するが、Gault の方は全く行方が知れない。2枚のアルバムで充分才能を発揮していただけに惜しい。
Gault は自作アルバムの liner notes も書いており、そこでは William X Gault 名義。内容はというと、Black Moslem 思想バリバリのアジ演説だ。名前に「X」なんて入れて、Malcolm X に似せてあるし。The Cosmic Brotherhood という band 名もなにやら思想が入ってる。
もしかすると、Gault はこの後 Moslem 名で活動したのかもしれない ( だといいんだが )。でも、もしそうであっても、その情報も全くないとは考えられないが・・・。あるいは、すっかり Black Moslem 活動家になってしまい、音楽からは足を洗ったのかもしれない ( だとすると残念 )。この辺は全く謎だ。
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謎の人 Billy Gault と Billy Skinner の一瞬の煌めきを記録した作品としても、この NEW YORK CALLING は貴重な作品になっていると思う。さえないジャケットで購買意欲がわかないけど、見逃すな。
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