★Twitter 2020/11/22より転載+加筆修正★
BIRTH OF THE COOL (1950) 発表後、1951年ついに Charlie Parker と Gil Evans の collaboration が実現する。
この組み合わせ、意外に知られていない。というのも In the Still of the Night、Old Folks、If I Love Again の3曲 ( +alt. takes ) しかないので、メインの売り物にならないのだ。
最初は In the Still・・・/Old Folks の組み合わせで1953年に Clef から SP盤として発売。その後、Verve のいろんな盤に挟み込まれているが、中途半端な volume なので、Norman Granz も扱いに困ってるよう。自分が持っているのは以下の盤。CDだけど。
The Genius of Charlie Parker #7 / JAZZ PERENNIAL [Verve] rec.1949-53, rel.1957
この盤には、1950年の quartet 3曲、1951年の Parker-Gil 3曲、1949年の septet 2曲、1949年の quintet 3曲を収録。ホント寄せ集めだ。
注目はやはりParker-Gilの3曲だろう。自分が最初に知ったのは、Parker の Verve Best 盤だったと思う。
Parker に、Dave Lambert (vo) 率いる chorus 隊をぶつけるというかなり変わった企画だ。Chorus arrangement は Lambert が担当。全体を Gil Evans が仕切る。中でも一番力が入っているのは In the Still of the Night。
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Charlie Parker and Chorus- In The Still Of The Night
テーマを男女 chorus 隊が歌い、Parker がそれに obligado をつけるように絡む。そして Parker の solo がすごい。彼の solo の中でも十指に入る出来じゃなかろうか。Gil の arrangement は、Parker の solo にも ensemble や chorus を被せてくる、かなり手の込んだもの。
しかしこれは大成功。感動ものだ。Parker の improvisation のまま ending に入る構成もカッコイイ。Parker 最初から最後まで吹きまくりだし、大満足。
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Old Folks でも Parker の solo に chorus を被せてくるが、In the Still・・・ほど挑戦的なものではない。この曲は chorus がメイン。
If I Love Again は Parker の方がメイン。Tony Aless (p) や Max Roach (ds) の solo もある。Chorus も絡むがそれほどおもしろくはない。In the Still・・・で Gil は力を使い果たしたか?
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結局1日かけて3曲しか完成せず、懲りた Norman Granz がその後 Gil を呼ぶことはなかった。
Gil Evans が Verve に再登場するのは、Granz が Verve を1960年に MGM に売り払った後、Creed Taylor 時代 1963-64年の THE INDIVIDUALIM で。
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上記3曲の完成に1日かかったわけだが、当然山のように別 takes がある。それを収録したのが以下の盤。
Charlie Parker / BIG BAND [Verve] rec.1950-53, rel.1999
前半10曲は 1950+52年の sessions で、1954年に Clef からこの名前・ジャケットで出た。1957年に NIGHT AND DAY と改題されて Verve から再発 ( こっちの方が有名 )。
この CD は、それに Gil との session を新たに加え、ジャケットを元に戻したもの。Parker のアルバムは経緯がややこしい。
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後半3曲+その別 takes 11曲!が Gil との session。本 CD の半分以上を占めている。もはや別物だ。
しかし Gil も、take を重ねるにもほどがあるなあ。それを聴くと、Gil Evans は take を重ねるごとに arrangement を変えているのだ。なんと。これじゃいつまでたっても完成しないはず。Take 3,4,6 を。Master は take 7。
In The Still Of The Night (Take 3 / Complete)
In The Still Of The Night (Take 4 / Complete)
In The Still Of The Night (Take 6 / Complete)
Parker もよくまあ飽きずにつきあったもんだ。そのおかげで In the Still・・・の master take では畢生の solo となったわけだから、いやはや Parker も Gil もすごいね。
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自分は Gil Evans というと、1970-80年代の作品が好きなんだが、最近ようやく1950-60年代の作品もわかるようになってきた。そして、今回取り上げた盤で1940年代の動きもだいぶわかってきたし、ますます Gil Evans が好きになってきた。Jazz の世界はホント奥深いね。
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