★Twitter 2020/11/17より転載+加筆修正★
Geri Allen / EYES ... IN THE BACK OF YOUR HEAD [somethin'else→Blue Note] rec.1995-96 rel.1997
2017年に亡くなった Geri Allen の、脂が乗り切った頃の自由帳的な作品。縛りが一切ない設定で、Geri の自由な発想を存分に楽しめる。もう忘れ去られつつあるが、こういう作品は未来永劫残ってほしい。即興音楽の至宝だ。
自分は、Geri の音楽の面白さに気づいたのがだいぶ遅かった。Geri に熱中し始めたころに亡くなってしまって、本当に残念だった。おまけに旦那 Wallace Roney まで亡くなってしまって・・・。
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共演者は、Wallace Roney (tp)、Cyro Baptista (perc)、そして Ornette Coleman (as) だけ。Geri の p (+syn ) solo、Geri + Wallace の duo、Geri + Cyro の duo、Geri + Wallace + Cyro の trio、Ornette との duo で構成される。
意外に ECM 的な内容。地味だがどの演奏も聴きごたえある。曲も、Ron Carter 作の1曲を除き、すべて Geri の自作 ( 共作もあるが )。というか、ほぼ即興で曲を組み立てている過程を見ているような感じ。Geri の頭の中の作業部屋を覗くアルバム。
どの曲も中途半端なまま、放り出されるように終わるので、1曲1曲の完成度は高くないのだが、アルバム全体で1曲みたいな統一感のある、不思議な作品。Windows to the Soul でのfree jazz なんか、もうクールな大暴れが爽快。
Windows To The Soul
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Producer は Geri と Teo Macero。
Teo は、前作では Ron Carter + Tony Williams とストレートな piano trio 作品を作らせている。Standard なども入った縛りのある設定は Geri には珍しかった。その反動というか、「今回は好き放題やっていいよ」ということだったのかも知れない。
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Wallace はこの頃はすっかり晩年の Miles の物まね trumpeter になっていたので、意図的に tp をフルで鳴らさなくなっている。あまりおもしろいとは思わないのだけど、こういう地味なセッティングだとそれも効果的。Duo での即興の応酬は緊張感ある。
In The Back Of Your Head
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Cyro は Brazil の percussionist。John Zorn 周辺とも付き合いが深く、変な人だ。見た目も面白いので、映像があった方がいい。
おもちゃのような楽器をたくさん使うスタイルなので主役にはなりにくいが ( けど、Tzadik あたりにリーダー作がたくさんある、それも変 )、どの曲でも効果的にGeriの音楽をサポートしている。
M.O.P.E.
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Ornette とは2枚の SOUND MUSEUM (1996) で共演しており、その返礼ということでOrnette が2曲に登場。特にテーマのない free improvisation が5分と7分。二人にとってはお遊びみたいなものだが、ずっとそのお遊びを眺めていたくなる楽しい演奏。
Vertical Flowing
The Eyes Have It
これも、メロディーの仙人 Ornette の作曲過程を覗いているよう。これは、このアルバムの方向性に倣った感じ。どちらも fade-out で中途半端に終わる。おそらくどちらも20分くらい録ってると思うので、全編を聴きたい。配信のみでもいいから。
Ornette が piano と共演するのは珍しいが、この頃はどうも pianist に興味があったらしく、SOUND MUSEUM も Geri を名指しで招いたらしい。同じ1996年には Joachim Kuhn (p) とのduo作も作っている。Ornette はその後10年間アルバムを作らなくなるので貴重な録音でもある。
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通しで聴くと、キャッチーなメロディーも一切なく「これ何だったの?」と感じるかもしれないが、何度も聴いていると Geri 風呂に浸かっているのが楽しくなる。その感覚は Wayne Shorter や Andrew Hill と似たところのある人だ。とてもおもしろい。
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